とすかねり さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
感想とか、つまんねーこと聞くなよ!
*ストーリー
ストーリーというストーリーが無い所は、本作の特徴。所謂「サザエさん型」と呼ばれる、1話3パート構成で、「このアニメは女の子の可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみいただく番組です。」がコンセプト。
「原作 久米田康治」らしい作風と言えば、端的で分かりやすい。『かってに改蔵』以来のブラックコメディという点は、ヤス絵であるが故に更に重く、ギャップで痛烈な風刺となっている。
展開と言う展開も無く、目的も執着も無いギャグアニメとしては、ある意味で典型的だろう。
☆3.5というのが、むしろ本作では最高の賛辞のように思う。これ以上の星は逆に低評価であろう。
*作画
ヤス絵が実にJ.C.STAFFと親和的であり、且つメタネタやエキセントリックな内容、ギリギリのギャグ感の為のある種の“外し”が、作画の巧さを感じる。
一方で本作の本旨ともいえる、「女の子の可愛さをお楽しみ頂く」と言う点も考慮し、ファッションやキャラ魅せも十分になされている所も高評価だろう。
☆4.5
*声優
デビュー2~3年目を配しつつ、後藤沙緒里さんと南條愛乃さんを揃えて安定感を形成したキャスティングと言える。若手はその後も活躍しているし、特に蕪羅亭魔梨威役の佐倉綾音さんは出世著しい。
久米田作品独特の「病み」やブラックジョークや下ネタを強行するあたり、演者の役者力が見え隠れする作品だろう。
☆5で。
*音楽
やはりOPの勢いは良い。本作の作風を引き立たせるものと言える。また、単に明るいだけでなく、何か負の側面もある所は、評価の高い所と言えるだろう。
また、ヒャダイン作のED「ニッポン笑顔百景」も、本編の勢いを殺さないままEDを突っ切る感じは良かった。ただ、果たしてももいろクローバーZである必要がどこにあったのかに関しては、悩ましい。別に極♨落女会のままでも問題は無かったのではないかとも感じる。ただ、良いEDであったことには変わりないし、あくまでも疑問程度のものである。
☆4で
*キャラ
キャラのかわいさに関しては、本作の本旨と言えよう。更に言うならば、各々の属性も割合はっきりしていて、それでいて意外性が見られる点も評価が高い。
一方で闇の部分や狂の部分が、暗落亭苦来に限定されない所は、いかにも久米田作品といった感じがする。『かってに改造』で羽美が連載当初から比してだいぶ崩壊していたように、なにか不安になるようなキャラの動向がどの子にも見えるのは、固定化されがちなキャラ属性や動向にショックを与えるものである。
☆4
*総括
前回、『苺ましまろ』のレビュー(http://www.anikore.jp/review/747803/)の中で、「基本的に動かないキャラを少人数で同じ場所に閉じ込め、キャラ属性とかわいさでごりおしする」という、日常系の在り方について語ったが、まさにそれが本作である。「このアニメは女の子の可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみいただく番組です。」というコンセプトは、内容そのものの深刻性や重要性を無視すべきという示唆であり、まさしく掛け合い重視の日常系の本質とも言える。
ところで本作は、皮肉や風刺を多いに含むものであり、風刺アニメというカテゴライズも出来よう。もちろん深刻さを伴わないものだが、アニメ作品、特に萌え系の中では攻めたとも言える。こうした作風が維持できるのはとても難しい。批判やクレームを恐れない作風には称賛を贈りたい。今後これに追随できる作品ができるかは未知数であるが、個人的には期待する所である。
なお、近年のアニメの中には、テニスをしないテニスアニメや、ぼっちじゃないハーレムぼっちアニメなど、非常にバラエティにとんだ作品が存在するが、本作はまさしくそれで、申し訳程度に落語のシーンが挟まるレベルである。もっと言えば、キャラが落語家である必要が果たしてあったのかどうかも怪しいネタの宝庫である。この羊頭狗肉感は、果たして皮肉なのか・・・業界批判と言うのも、ギリギリの綱渡りのように思うのである。