「借りぐらしのアリエッティ(アニメ映画)」

総合得点
66.0
感想・評価
663
棚に入れた
3154
ランキング
3076
★★★★☆ 3.6 (663)
物語
3.4
作画
4.1
声優
3.3
音楽
3.7
キャラ
3.5

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ネタバレ

あにも さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

タイトルなし

人間視点からの小人世界の表現、アリエッティと舞台・草花や昆虫との戯れ感は素晴らしかった。 草むらを掻き分ける・登るなどの、 草とアリエッティの相互作用を踏まえたアニメーションはかなり見応えがある。 上手く説明できないが、自分が子供の頃飼っていた虫や小動物が、 草むらなどで環境と戯れながら遊んでいる気分がよく出ていると思った。 個人的にとてもフェティッシュな映像。


逆に気になったのは、小人視点からの世界表現。 もうちょっと小人と舞台の関係を掘り下げて表現してほしいと感じた。 細かいディテールをもっと拾ってほしかった。 例えば、小人の家の上を人が歩けば、大地震となるだろうし、 人間にはそよ風でも小人たちには台風並みの強風となるだろう。
草・石・土・家の壁などの素材感も物足りないと感じる。もっとダニとか微生物やらホコリに塗れていて、人間視点とは別物の、 ナウシカの腐海のような世界観でも面白かったのではないかと思う。 もっと小人が人間を含めた環境に翻弄される感じが出てると良かったのだけど。

でも、小人にとっての環境音の再現度はかなり高いと感じた。 とくに「借り」で最初に訪れる、深夜の台所の環境音には「ああ!」と感嘆させられた。

物語というか思想的には、人間嫌いが出ちゃってる作品だなぁと思った。 小人たちの生活を決定的にぶち壊した、お手伝いのおばあさんは 好奇心旺盛なだけで悪い人ではないのだろうが、 どうもワルモノにしか感じられない。 小人にとっては天敵という扱いで問題ないと思うが、 少年の視点からは「変わってる」程度のおばさんに見えてほしかった(実際はそうなのかもしれないが) 。
視点は、人それぞれで全く違うものになる。 その意味でこの映画は、膨よかさが足りないと感じる。


ジブリ系の絵柄に限界を感じる映画でもあった。恋愛もの・少女趣味的な耽美さは宮崎系キャラと相性が良くない。先にも書いたように、お手伝いのおばちゃんの元気の良さ・ユーモラスさがもう少し描かれていたら、そうは感じなかったかもしれないが。

宮崎絵なのに宮崎作品ではないなぁ、という違和感ってことか。 逆にいえば、宮崎脚本とはいえ「借りぐらしのアリエッティ」は米林監督作品になっていたのだと思う。

投稿 : 2013/11/22
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