jethro さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
気持ちを言葉にするという事
協調性という言葉は
異なった環境や立場にある複数の者が互いに助け合ったり譲り合ったりしながら
同じ目標を達成する素質のことを指します。
似たような言葉でコミュニケーション能力という言葉がありますが
こちらは、知覚、感情、意思の伝達能力のことを指し
意味としては全く異なりますが
この二つの言葉はとても近い存在であり
同時に使う場面も多いのではないでしょうか
協調性には必要なくてコミュニケーション能力には絶対的に必要なもの
それが「言葉」です。
そしてまた、こうも言えます。
コミュニケーション能力が足りないために「協調性」があるにもかかわらず
「協調性」が理解されず「協調性」が無いと思われてしまう
結構嫌な話ですが
人に心を読み解く能力は無いんです。
つまり相手の気持ちを理解するということは
どこまで行っても推測の域を出ないという事でもあるんです。
そんなこと当たり前だろ (笑 wwww
本作の主人公 黒沼爽子(くろぬま さわこ)は、
この両方の能力、「協調性」と「コミュニケーション能力」をしっかり持っていながら
一歩踏み出すことのできない女子校生
簡単に言ったら「やればできる子」
いろいろ考えているうちに話せず終わってしまう
はたから見ると、こういう人って「内向的」って言われるのかもしれません
とはいえ、このドラマでは主人公を含めほとんどの登場人物の心の声が
モノローグとして表現されます。
爽子に至っては、普通に話している言葉も含め全て表現されるので
視聴者が「こいつ何考えているか分からない」という状況には
絶対ならない作りになっています。
(自分<視聴者>と意見が違うから理解できないということではありません)
これはかなり大胆な試み
作者は主人公の事では隠し事が一切できない訳ですから
直球勝負で真正面から描いていかなければいけない
これはただならぬ労力だと思います。
しかし、このおかげで
主人公の悲しいまでの繊細な心遣いや、深い戸惑い、にじむ涙の訳
そして、ほころぶほどの笑顔の意味が、あまりにも直観的に伝わってきます。
「そこまで考えなくても・・・」「それは絶対伝えなくちゃね」などなど
爽子が思いめぐらせる言葉の一つ一つに共感したり、しなかったり・・・
そしてついに言葉に発する瞬間のドキドキ感!!
いろいろ考え巡らせたけど、どんな言葉を伝えるのか?
特に話せなかった場面も多く、そんな時は思わず
「あーーーーーっ話せなかったよ・・・」なんて口に出してしまうほどでした。
こんな風に見続けると、
不思議な事に爽子の事を「内向的」とは思えなくなってしまうのです。
むしろ積極的とも思えるほど
一歩踏み出す、一言発する、そのきっかけと勇気それだけなんです。
伝えたくて伝えたくて・・・・言葉を発しても届かない時がある
その恐怖
だから、いつでも「君に届け!」と願って言葉を口にする
そんな、丁寧に丁寧を重ねたようなセリフは口から発せられているのに
伝わるはずのない「心」に聞こえてきます。
これには、もう、いちいち感動しなくてはならず、
見てる立場からすると本当に大変な状況になってしまいました。
ハマらなかった人ゴメンなさい
爽子ファンになった事をお許しください