jethro さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
カネと不条理とカップ麺
異世界に存在する謎の金融街
プレイヤーであるアントレはアセットと呼ばれる式神のような存在を操り
日夜、互いの資産を賭けた戦いを繰り広げていた
やがてその戦いは全世界の金融業界をも揺るがすような危機をもたらそうとしていた
「ガッチャマンクラウズ」でその斬新な作風が話題になった
中村健治 監督が2011年に手がけた社会派ドラマ
本作では、今現在の日本の経済だけでなく世界経済の行く末を
究極に突き詰めていった結果
世界はどう変貌していくのかという
稀有大胆な構想を元に描くマネーシミュレーションストーリー
正直、金融のことなんてテレビのワイドショーレベルの知識しかありませんが
充分楽しめました。
この世を動かしているのは「金の流れ」なんて、小学生でも理解できる常識ですが
国の負債額が何兆円とか言われてもピンとこないとうか
分かっていても、自覚がないというか・・・
消費税率がアップされて初めてリアクション起こす
そんなんじゃないでしょうか
細胞の一つ一つが私達人間だとして
お金は血流のように表現されます。
つまりそれ無しには生きていけないという事
これは「金を使う」か「金に使われるか」という見方によっても違いますが
ほとんどの人は「金に使われる」なんて思っちゃいないはず
それは、登場人物たちも同様
しかし物語の進行とともに実はそうでないことが明白になっていきます。
主人公である余賀 公麿(よが きみまろ)は、そこに一石投じる役回り
情け容赦のない金融の世界にメンタルな側面を見出そうとします。
でも、そもそも金(カネ)にメンタルな面なんて存在するんでしょうか?
突っ込みどころは結構あります。
それらを全てひっくるめてファンタジーと称すればそれもまたよしですが
なにぶん、リアルな経済事情をベースに敷いてしまっているので
ファンタジーと掛け合うための歯車が少々足りなかった感が否めません
読み取れる全てのキーワードから推測すると
「重要なのは結果ではなく、その過程」ということなのだと思います。
この場合メンタルの位置づけは、過程の部分にあると・・・
まぁ、物語の中では盛んに
「今現在」と「未来」どちらが重要かという
とても悩ましい選択肢に右往左往している姿が印象的でしたが
「今がなければ未来はない」「今さえよければ未来はどうでもいいのか」
これは実に不毛な争いです。
回答なんてあるわけがない不条理な設問です。
あえて解答せよというのであれば、
相反する両者を「愛」という接着剤でくっつけたもの てのが答えかな?
ま、そうカタイこと考えずに
主人公のアセット真朱(ましゅ)の
カップ麺を食べてる様子やキスに興味を持つ様子みたいな
甘酸っぱいラブストーリーとして見続けたほうが
健康的かもしれません