kimy さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
亜流の英雄伝
一見ミステリー、現代風刺のフィクションのようにも見えつつ、はたまたアクション的要素もある。
しかし、その本当の姿は単なる英雄伝だ。
この作品の英雄は世界を変えようとしたのではなく、自分を変えようとした。
傍目から見ればそれは小さなことかもしれない。
だが、自分すら変えられないものにこの世は変えられない、と私は思う。
変わる事を嫌い、変えないようになった今の社会で、それから離反するかのように自分を変えていく主人公の姿は、
まるで別の世界へ先導する旗手のようだ。
彼は荒手の様な手段でこの世を変えていく。だがそれは英雄のようには描かれない。それでも、その様は痛快だ。
「不謹慎だろうけど、もっとすごい何かが起きないかって、ワクワクしちゃって…。」
その言い知れぬ気持ちを作品内では上記の言葉で表していると思う。
何か変わるきっかけをくれる英雄。
何も変えない世界を変えてくれる、重たい空気から救ってくれる英雄。
そんな人物が躍動する作品なのだと思う。
「ノブレスオブリージュ あなたが今後も救世主たらんことを」
繰り返し現れるこの言葉が、この作品の全てを表しているのだろう。