Asuca さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
悲哀でも、プラトニックでもない→モラトリアムだ。
「主人公と双子の3人が一緒にいることが、主人公視点による“嬉しい”じゃなく、視聴者視点で、それが彼等3人にとっていちばんの幸せであるように観てもらうためにはどうすればいいのか?と、ひたすら考え抜いて作っています。」(star child web siteより)
この制作者側の意図は、十分に伝わってくる作品であることは間違いない。
双子との「(恋愛)」はいかに繕うと努力しても、論理的に考え、映像化してしまうと、プラトニックになるか、誰かが我慢することになる。虚像の世界での表現であろうとも、まともなEndingは用意できない。
制作者側は、男女間の「正三角形」の構築を考えた。しかし、上記で述べたように、論理的に考えると、「正三角形」の構築は不可能である。ここで、論理性を破棄し、純粋に視聴者視点でのtrue endを画策した作品が、本作品と言える。
論理性の破棄といったが、この作品が惜しまれるのは、キャラクターの設定(バックボーン)が破綻してしまっていること。双子との関係性を画策する時点で、かなりの難題であるにも関わらず、作中設定では、社会的ステータスが逆二等辺三角形であり、endingを作るための道具となってしまっているのが、まことに残念である。
視聴者側に、例えば、主人公の父の過去、或いは、学生時代の経験を想像させておきながら、結局のところ、視聴者に未知のendingを提供できないのは、双子モノのある意味、限界なのかもしれない。これでは、唯の論理性のない作品と言われても致し方がない。
総括すると、確かに、9話前後まではよく出来ていたと思う。是非とも、ここまでは見ていただきたいが、肝心のendingまでの道のりは、蛇足感のあふれる作品になってしまった。
やはり、双子モノのtrue endはモラトリアムでしかないのだろうか。