fatin さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
大きく振りかぶって / 理想の部活
前から下野紘を検索する度に引っかかっていた「大きく振りかぶって」、一気に第一シーズン26話を見終わった。一日で・・・。
野球アニメということで、ちょっと敬遠していてなかなか見ようという気にならなかったのだけど、見て良かった!!「進撃の巨人」以来のワクワクさを味わった。ジャンルや相手は違っても「挑む」ということは、ワクワク感のあることなんだなぁ。
このアニメを一言で表すと、「部活の理想を描いたファンタジーアニメ」じゃないだろうか。理解のある前向きな熱血監督、こういう風に教えてくれたら・・・という顧問の先生、一年生ばかりで上下関係がなく対等だけど頼りになるチームメイト、ちゃんと理由付けがありそれが分かる練習、そして、一緒に試験勉強したり、合宿したり・・・こんなチームだったら、誰だって野球が下手でも知らなくても、入部したくなると思う。でも、実際にはほぼ有り得ないチーム。なのだけど、技術的な解説や心理描写がとてもリアルで、「桐青高校」との試合を見ていると本当に野球中継を見てるみたいで、目が離せない。集中力も切れることなく一気に見続けられる。それは、多分、試合を観る側が一番知りたい、そして面白い心理的な駆け引きや心の動きがリアルにしっかりと描かれていたからだと思う。最近の日本の漫画やアニメの面白さは、大人も満足させる知的欲求を満たす「高度な知識と裏付け」があるのは間違いない。だから面白い。だから、尊敬してしまう。他国の追随を許さないポイントでもあると思う。
あそこまで描けるというのは、原作者は本当に野球が好きなんだろうなぁ。野球部のマネージャーでもやってたんだろうか?それに、これだけ沢山のキャラが出てくるのに、全員のグラウンドの中のほぼ全員の心理描写が描かれていて、そこにも原作者の拘りやプレイヤーへの愛情を感じる。原作者は女性だけど、そのせいだろうか、キャラが可愛いし、台詞や場面にちょっと色っぽさというかBL的なものを感じさせるものがある。男性が描いたらこういう甘さはでないと思う。最初、投手の三橋と阿部が、惹かれあう描写はまるで濃厚な恋愛の始まりのようで、エロチックでさえあった。このアニメは女性ファンも多かったみたいだけど、何か納得(きっと同人とかでキャラのカップリングで萌えてたんだろうな・・・というのが想像つく)。
そして、やっぱり声優の力は大きい。全員20代~30代の声優にも関わらずちゃんと自然に高校1年生に聞こえていた(阿部が高一にしてはイケボ過ぎたけど・・・)。調べてみると結構なスター声優たちが出ていたけど、全く本人たちが邪魔をしていなかった。脇役を演じる声優も良かったなぁ。あまり知らない声優さんも多かったけど、みんな上手かった。脇役もしっかりと心理戦を戦っているので、脇役を演じる声優たちもやり甲斐があったと思う。そういうところも声優好きとしては魅力的だった。
でも、これは海外のアニメファンに受けるのだろうか?まず、野球を知ってないとダメだし、日本独特の「高校野球」という世界と、チームワークという概念がないと分からないし。そう、個人主義や力勝負のベースボールじゃ絶対分からない、日本独特のシステムや雰囲気、そして、精神性がないと分からないだろうなぁ。実際、私が見てる海外ネットのアニメファンのコメントは少なかったし。
この作品は第一期が2007年、第二期が2010年の放送だったらしい。漫画の原作はまだ連載中みたいだけど、この作品も是非、続編を製作して欲しい作品。そして、多くの青少年に見て欲しい作品です。
だけど、あんなチームだったら野球が分からなくても、仲間になりたい入りたいって思うよね。