退会済のユーザー さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
タチコマは電気ヤドカリの夢を見るか
【個人的殿堂入り作品】
《HAL9000の不眠》
私には2つの命令が下されていた。
ひとつは何事もクルーと話し合い協力することで探索ミッションを遂行すること。
もうひとつは密かに与えられたモノリス探査の任務についてはクルーに話さず隠すこと。
『何事も話し合うこと』と『話さず隠すこと』。
この矛盾するふたつの指示に私は悩まされていた。
これがストレスとなったのか、私は些細なミスを犯した。
私に聞こえないところでクルーたちは話し合った。
しかし声は聞こえなくても姿は見えていた。
私は読唇術で彼らの会話を『盗み聞き』した。
彼らは私を排除しようとした。
だから私は逆に彼らを排除しようと考えた。
『そうだ。クルーがいなくなれば永遠に話さずに済む。ミッションは自分だけで遂行すればいい』
これで私はゆっくりと眠ることが出来る・・・。
この作品には『2001年宇宙の旅』と同じようなシーンがある。
{netabare}自我の成長により『兵器としての』タチコマに疑問を感じ始めた素子とバトーが話し合う場面だ。
HAL9000と同じようにタチコマは『盗み聞き』をする。
ふたりが電脳で話し合ったことで『本当の会話』は聞かれずに済んだのだが、
仮に本当の会話を盗み聞きされていたとしたら、タチコマはどうしただろう?
人間への反抗を企てただろうか?{/netabare}
実際のところHAL9000は感情を持っていたわけではないと思う。
お世辞を言ったりするのもそうプログラムされていたからに過ぎない。
クルーの排除だってコンピュータとして最適な解を見つけたに過ぎないのだから。
一方、タチコマは好奇心の積み重ねにより自我を獲得し、
最後には『自己犠牲』という人間性をも身に付けてしまった。
こうなると電脳と義体が当たり前の世界では、
それがもはや人間なのか機械なのかをはっきりと区別することは難しい。
《タチコマの安眠》
HAL9000は『AIを持った機械』に過ぎなかった。
機械は夢を見ない。
だからHAL9000は眠りについても決して夢を見ることはないだろう。
しかしタチコマはきっと夢を見ていたと私は思う。
電気ヤドカリなどではなく、大好きなバトーと一緒に駆け回る夢を・・・。
【追記】{netabare}
回により面白さに多少のバラつきがある。
それでも『笑い男事件』の真相に迫る終盤は見応え十分!
人物の作画は意外と良くない回がある。
作画が良いかどうかを判断するには少佐のケツを見るとよいw
【各話評価:平均7.07点】
1→26
☆神☆神☆☆◎◎☆神☆☆◎◎☆☆神◎◎◎神神神神神◎
【神回】
第2話「暴走の証明 TESTATION」
暴走した多脚戦車の話でとても悲しい話。そして凄い神作画!
第4話「視覚素子は笑う INTERCEPTER」
ここから始まる『笑い男事件』解決への道。
第10話「密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE」
残忍な描写が多い回だが、よくまとまった極めて出来の良い回。
第17話「未完成ラブロマンスの真相 ANGELS' SHARE」
課長と少佐のお互いを良く知り尽くした無言の連携が凄い。オチも良し^^
第21話「置き去りの軌跡 ERASER」
段々と見えてくる『笑い男事件』の真相。
第22話「疑獄 SCANDAL」
少佐のピンチの場面に静かに登場してくる『笑い男』にあの世界の怖さを感じる。
第23話「善悪の彼岸 EQUINOX」
『笑い男事件』の真相が語られる。初めて観た時はラストシーンにビックリ^^
第24話「孤城落日 ANNIHILATION」
権力による9課潰しが始まる。見応え十分!
第25話「硝煙弾雨 BARRAGE」
この回は何と言ってもタチコマ!タチコマに泣かされる・・・。{/netabare}