takarock さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
風と共に去りぬ
幼き頃から誰だって一度は空を自由に飛んでみたいと思ったことはあるはずです。
眩しいくらいの太陽、
どこまでも澄み切った青い空とわたあめのようにふわふわとした白い雲、
眼下に広がる草原に陽光に照らされて燦然と輝く青い海
思えばジブリ作品はそんな僕らの憧憬を映像化してみせてくれて
エンターテインメントとして提供してくれました。
この物語の主人公である堀越二郎はド近眼の為、パイロットとして空を飛ぶことはできないのですが、
空を飛ぶことをイメージしてそれを形にしていく航空技術者です。
二郎の空を自由に飛ぶことに対する果て無き想いは宮崎駿監督の想いそのもののように感じました。
ただ、飛行機というのは使い方によっては殺戮と破壊の道具にも成り得るもので、
そこには理想だけでは済まされない厳しい現実があるということを
この作品は何度も何度も突きつけてきます。さながらそれは創作活動の苦悩です。
ヒロインの里見菜穂子はThe ジブリヒロインですw
宮崎駿監督の理想の女性像そのものなのでしょう。
そしてこの日本はかくも美しかったものなのかという
今では失われてしまった古き良き日本の美。
それは自然だけでなく生活習慣や人も含まれているのかもしれません。
この作品は宮崎駿監督が自身が映像化したいと思われた様々な想いが
すべて詰まっているのではないでしょうか。
僕は平日に運良く時間が空いたので
とある街の小さな映画館でなんと生まれて初めての貸し切り状態で観ました。
今なら上映前に「どうせなら、まどマギ観たかったな」と思ってた自分をぶん殴ってやりたい気分ですw
この作品を貸し切り状態の映画館で観れるというのは最高に贅沢な体験でした。
この映画の主題歌である「ひこうき雲」が流れた時に、
この作品単体ならこういう反応にはならなかったと思いますが、
これまで自分が観てきたジブリ作品が頭の中で風と共に通りすぎていき
誰もいない映画館の中、一滴の雫が僕の頬を伝いました。
最後に宮崎駿監督、これまで素敵な作品たちを届けてくれてありがとうございました。