Asuca さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
伏線の張り方が甘い!
世界線的展開に持ち込むならば、伏線を慎重に張り巡らせるべきだ。原作未読なので、実際のところどうなのかはわからないが、少なくともアニメだけの評価をするならば、もはや伏線と言える代物ではなく、作者(制作者)という第三者の力で物語が左右されているのがありありとわかる。
主人公が、間抜けでも何でも構わないが、最終的に世界線endを迎えるならば、各殺していった登場人物たちの人物像を掘り下げていき、各々が抱える問題点を時間(世界線)を超えることで解決して行くというのが展開的に受けがいいのではないか。
そもそも、主人公が自らDEAD ENDに突き進むってなんだよと突っ込みたいのは山々だが、それ以上に伏線の張り方が甘いやら、主人公の心の成長はいつ転換期を迎えたか、或いは転換に値する一大イベントがどこで生じたかが全くもって不透明なのが作品全体の完成度を落としている。
個人的好みを言えば、選ばれた面子の中で一人だけ生き残る作品設定は好きではない。そもそも生き残れないのだから、そこには葛藤の中での死しか存在し得なく、マイナス的要素が強すぎる。仮にこの設定を貫き通したいのならば、Fate的に殺さなくてもいいのだが・・・とか或いは主催者側の陰謀説的に収めて欲しいのが私見だ。
とはいえ、最終的には、その一人しか生き残れない世界観を活かして多次元間の融合で話をまとめたのは、終わってみて「なるほど、うまく逃げたなぁ」と言う感じがする。
しかし、絶対的矛盾が存在するのではないだろうか。初めの世界の神が二度目の世界で存在できたことを仮定するならば、二度目の世界の神も同様に三度目の際に存在することはできる。しかし、実際には二度目の世界の神は三度目の世界にとどまることはできなく、ここに矛盾が生じるため、背理法的に初めの世界の神は、二度目の世界に存在し得ないことになるのだが、作者はこの矛盾をいかにして説明するのだろうか。もっと言えば、最初の世界の神は、そう安安と死ねるのだろうか。
以上の理由から、作品の設定には大きなネックがある作品だが、少なくともヒロインだけは愛嬌があるので、それゆえの評価の高さなのかと思うと、少しだけ悲しい気持ちになる。あくまで、個人的感想に過ぎないのは重々承知しているが。
甘いよなぁ。色々と。