HG anime さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
あれから約10年
ポケモンXYが発売ということで、レンタルしてきて10年ぶりに観ました。公開当時小学生だった私が劇場に足をはこんで観賞したのは覚えていたが、ストーリーがいまいち思い出せなくてレビューしてなかった。アニメも新章開始ということで、これから年末にかけてポケモン映画を振り返り観賞をしていこうと思い立った次第。
この映画が公開された当時はポケモンゲームは金、銀、クリスタルバージョンの時代で、私がポケモンゲームデビューを飾った頃だった。ポケモンは私の小学生時代を彩ってくれたので、この映画を観るといろいろと思い出して感慨深いものがあった。ポケモン映画屈指の出来だと巷ではいまだに評価が高いものである。今回観直して、世間の評価は妥当だと思った。1時間ちょっとの上映時間にこれだけの夢を詰めた製作陣はすごいと思う。
さて、ここからは具体的且ネタバレを含む感想を綴りたい。
豪華な声優陣とヴェネツィアを彷彿とさせる美しい舞台、それに完全にマッチングしたラテン基調の音楽は児童向けのアニメという世間のレッテルに甘んじていない。ストーリーも簡潔でいて印象深い。作画もCGを絡めたなめらかな動きと丁寧なタッチで描かれた情景が違和感なく融合している。どこかぼうっとした2000年前後のアニメ独特の画質がノスタルジックな世界観とあっていてとても良い。(私は42型TVで鑑賞したが、だから画質が引き伸ばされているというわけではない。)最近のポケモン映画にはない感覚が味わえる。
最後のシーンについてはファンの間でも話題となる名シーンだが、あれははたしてカノンなのかラティアスなのか・・・
カノンはサトシに好意はあっただろうがキスするほどの仲ではなかったと思うし、無言だったのもラティアスっぽい。
個人的にはサトシに絵画を手渡し、キスをしたのはラティアスだろうと思う。しかしサトシとピカチュウを描いたのはカノンなのではないかなと思う。中盤の「謎の少女、再び」が流れるシーンではカノンはスケッチブックを持っていたし、サトシが見える場所で絵を描いていたが、ラティアスはスケッチブックすら持っていなかったのもつじつまが合う。最後のシーンはチュッとキスをするというものだが、眩しくきらめく海を背景にさわやかで儚く、それでいて気持ちのこもった幼いキスはとても綺麗で神聖な感じがして、ほろっと涙と穏やかな笑みがこぼれてしまった。片思いの初恋を思い出した。この映画を劇場で見たときからの約10年でいろいろな洋画、邦画、アニメなどを観たが、なかなかあんな名シーンはないと思う。ポケモンをある程度好きなら是非観るべき作品。