こたろう さんの感想・評価

3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

口述の説明だけでは凄さは伝わりませんよ？

アニメオリジナル作品。
舞台はちょっと近未来っぽい日本ですが、この世界には特殊な能力を持つ７人の王がいて、その王にはそれぞれ配下の組織があって・・・・という、超厨二くさい世界設定。
飄々と過ごしている一学生にすぎない主人公が、ある日突然身に覚えのない殺人の嫌疑をかけられ、王達の組織から狙われたり追われたりするミステリー＆バトルアクションです。


作画はキレイ。
動きも悪くないですが、よく動くというよりは、背景や効果と絵の組合せがよく映像として映えています。
キャラクターは、テンプレート的なイケメン揃い。
バトルものといって差し支えはありませんが、その設定のわりには派手に戦闘するシーンは案外少なく、会話や謎解きをしているシーンの方が圧倒的に多く印象に残ります。
タテマエは別にして、明らかにキャラプッシュしてます。
女子ウケしそうなキャラを色々用意して、男子ウケしそうなバトル要素を入れた。
そんな感じの作風です。


ミステリー要素としては普通。
序盤と終盤では主人公の立場がガラっと代わっていますが、それぼど意外性はなくオーソドックスです。
最初の方でモタモタとやっていてペースが遅く感じますが、主人公と相棒達との関係が深まっていく過程なので、尺をそれなりに取ったのは正解だと思いました。
シロとクロ、ネコ、３人の変な仲間関係が築かれていて、感情移入はスンナリできます。
潔白の証明のために行動を共にした主人公チームを中心とした視点の基軸がブレていないので、謎解きの段取りもわかりやすく、その点では面白かったと思います。
（謎そのものの出来は別にして）


バトルの方は、最大の見せ場が１話、２話でした。
これには肩透かしです。
なんか物凄い能力があるという振れ込みの”王”ですが、あんまりそういった能力発揮の見せ場も少なく、第３者の語りや回想でスゴいスゴいと言われてるだけ。
視聴者に凄味を理解させる演出が全然足りていません。
まぁ、戦闘力以外の特殊能力もいっぱいあるみたいですが、そのへんの説明を一切していないので、細かい設定云々をマメに調べるような気力のない一般視聴者としては、雰囲気で
「このキャラはこうなんだろなぁー・・・」
と、ボヤ～ッと推察するしかありません。
王をはじめ、深堀すれば色々と魅力のありそうなサブキャラはたくさんいますが、戦闘を含めテンプレート以上の何も感じることが出来ず、絵が綺麗なだけの全くワクワク感のないバトルに終わってしまった印象。
バックボーンの見えない戦いって、どんなに特殊能力でバトっても只の喧嘩にしかみえないですね。

ストーリーにしても壮大な設定にしてはチンマリしすぎ。
国家権力を動かす程の王が何人も出張っているわりには、非常に影響範囲が狭く、言葉は悪いですがチンピラの抗争レベルの事件で収まっています。
アレがナニをコレしたら世界が大変な事になる！
などと登場人物がクチでは大袈裟に言っていますが、前述のとうり説明らしい説明が全然ないので、どう大変なのかサッパリです＾＾


総括すると、色々と大作っぽい片鱗をみせながら、結局はキャラ萌えが主体な作品。
萌えといっても男性キャラに、です＾＾
人気声優（男）を各種揃えて、友情やら因縁やらで喧嘩したりチチクリあったりの思わせぶりなドラマを見せる。
いかにも女子が好みそうなソレっぽい雰囲気重視なのがヒシヒシと滲んでいました。

別に嫌いというワケじゃないんですが、これじゃあやっぱり物足りない。
続編の劇場版製作も決定しているそうですが、広げた大風呂敷に見合ったワクワク展開が次こそはあるよね？と期待したいと思います。

でも、どーせまた、ロクすっぽ説明しないんだろうなぁ・・・・