jethro さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
無垢から人へ
絶海の孤島で育った純粋無垢なるものが
伝説の名刀探しの旅の中
様々な経験を積みながら1つの人間という「心をもった魂」へと成長していく創生物語
1時間枠の作品、全12話、どっぷり浸りました
そもそも西尾さんの作品は「化物語」などをご覧になってもわかるとおり
映像を付加させる必要性が無いのではと思われるくらいの
ダイアローグの妙技が魅力の作品
本作もまた、同様のことが言えるといっても過言ではありません
ドラマCDでもokそういう解釈も十分できます。
ダイアローグに映像がついてこれない、そんなイメージ
また、こうも言えます
だからこそ、この映像
登場人物たちのキャラクターデザインは非常にシンプル
物語前半このキャラに疑問が浮かびます。
「無表情」・・・・いくらなんでも表情なさすぎ・・・
しかし本作はそこに大きなネライを含んでいます。
この無表情なキャラ
段階を経るごとに徐々に表情が豊かになってきます。
同様にセリフはもとより、お芝居そのものに表情がついてくるのです。
こんなことが計算ずくでアニメでもできるのだなと
心の奥が温まる感じ
大量のダイアローグの嵐には
教訓や説教じみたものから、とるに足りない使い捨て雑誌のようなものまであります。
しかし、それら一字一句が主役二人の成長を促し
やがて存在しなかった
「感情をもつ人としての魂」へと昇華させていきます。
{netabare}最終回とがめ が凶弾によって命をおとします。
その衝撃の展開に涙しつつも
「うまい」「うますぎる」思わず唸りました。
七花というからっぽだった器が、とがめ の死によって得た感情で
ついに人間として完成した瞬間でした。
それは
「死に行くもの、生まれ来るもの」を同時に見た瞬間でもありました。
実に見事な、しかし唯一無二な表現
ラストシーン
とがめ の意志を受け継ぎ地図作成の旅をしている七花
その隣には とがめ殺害の首謀者でもある否定姫
どこかアンマッチを思わせる組み合わせ
七花は 否定姫を許したのでしょうか?
七花は何度か とがめ と共に否定姫の屋敷を訪れています。
その時、七花は不思議な視線を否定姫に向けています。
なぜか?
そう、とがめ と否定姫は天敵でありながらとても似ているのです。
似て非なる存在とでもいうのでしょうか
アンマッチでありながら実に自然な組み合わせ
心安らかなるラストシーン
否定しかしなかった否定姫が、人を認めはじめた瞬間でもあります。
これもまた人の道理なり
{/netabare}
時間を作ってゆっくりとご堪能いただくことをお勧めします。