三崎鳴 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ファンなら絶対に観に行くべき
2011年に放送され爆発的な人気を博したTVアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の続編。劇場版としては総集編として制作された「始まりの物語」「永遠の物語」に続く3作目。名様はTV版最終回の内容の後の世界を描いた正統な続編。自分がこの作品を劇場で鑑賞して、ただ、「また虚淵にやられた」と感服するばかりだった。TV版では過大評価だ、といったものの、この「叛逆」がこれから評価された時は今度こそは認めざるを得ない出来栄えだった。まずは単なるアニメーションとしての評価。映像としての完成度は高くシャフトの作画・劇団イヌカレーの演出・kalafina,claris手がけるテーマ曲まで前作と比較して力の入り具合が違う。アクションシーンの迫力は素晴らしく高レベル。次に脚本としての評価。今回突いたテーマはTV版から引きずり続けていた明確なものだった。TV版が「鹿目まどか」の成長を描いた物語だったとするなら本作は「暁美ほむら」の一途な愛を描いた物語と受け取ることが出来る。すれ違い続けた感情が果たして友情なのか愛情なのか線引きが微妙だった所を本作ははっきりと表面化してみせた。随分と斬新な魅せ方ではあったものの皆一同の根本的に感じたものは平等に与えられたものだ。二転三転する壮絶で広大な展開かつ謎に謎を重ねるミステリアスな雰囲気は「エヴァンゲリオン旧劇場版」あるいは「新劇場版:Q」を彷彿とさせる事だろう。しかしそれぞれの時代の映像作品業界を盛り上げた二者、「エヴァ」と「まどか」には確かに共通点がある。硬派なSFとまではいかないまでも準SFの様な展開,宗教的な観念を意識した描写の切り抜き,結局は終始を通して主人公の成長を描く,と。いつの時代も視聴者の内面に抱えるニーズは同じだったということだろうか。エポック作としてもこれからの評価の動向が気になる作品だ。本作を視聴して自分で理解できなかった部分がネット上の考察サイトなどを利用すれば補完できるという点も今のインターネットが発達しきった時代を意識した脚本構成といえるだろう。TV版でファンになった層としては満点を付けられる映画作品だ。賛否両論を起こす作品となる可能性も孕む作品ではあるが…。