退会済のユーザー さんの感想・評価
3.8
物語 : 1.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
タイトルなし
「映画版攻殻機動隊の続編か……え、観る意味あるの?」と思っていた。
いや、面白かったんだけど、ストーリー的な続きは別に必要ないんじゃないかなぁって。
でも観ちゃった。
相変わらずストーリーというかテーマの部分に関しては「自分で考えてください」と言わんばかりだ。ワケ分からん。それだけなら良いんだけど、本作の場合、考える気になれないんだ。
だって人間と人形だぜ? それに命とか虚構と現実を織り交ぜてくるんだぜ? 降参ですわ。
そしてキャラの会話はテンポをぶつ切りにする禅問答や引用の応酬ときた。
ついでに言うとキャラも面白くもなんともない。普通。というか面倒くさい。偉人の言葉を引用にするのがこの世界では流行っているのだろうか……。
というワケで最初からストーリーの方にはまったく注目せずに、その映像美のみを堪能することにしました。結果的にはこの判断は正しかった。
美しい。本当に、美しいとしか言いようがない。
CGによる背景ビジュアルは圧巻。ブレードランナーを彷彿とさせる街並みが、全てCGで再現されるなんて思わなかった分、衝撃も大きく、感動は言わずもがな。
このCGに関しては、よく「手描きが浮いてしまっている」という指摘を見かけるけど、僕はこれで良かったと思う。
違和感があるという点には同意する。でもこの違和感こそが、本作になくてはならないものなんじゃないかなぁ。CGという虚構の世界に浮いてるリアルな人間。これって、本作における生死や虚構と現実という題材に合ってると思うんだよね。
だって普通に考えてさ、CGと手描きとで違和感があるなんて、観れば分かるもの。それを修正せずにそのまま採用したってことはそれだけ拘りがあるってことだろうし。(そうじゃないならただの思い上がりの阿呆ってことになるけど)
CGの背景を一点からのみ映すのではなく映画的な手法でダイナミックに魅せつけたりするからか、CGにチャチさは一切感じられない。虚構ではあるけど、間違いなく現実の世界として出来上がってる。
一方で人間は前作以上になんだか無機質というか、人間味が薄い。CGの背景を写実的に映して、人間を虚構っぽく描ことで、不思議な映像になっている。ほんと面倒くさいことするな、この人。
あとはやっぱり、音楽が素晴らしいなぁ。なんつーか、本作はSEとBGMだけでも本編全部聴ける自信がある。音の全てが気持ち良い。
むしろBGMでもうテーマとか題材まで語れてしまえてる気さえしてくる。一番要らないのがストーリーと言ってしまってもいいレベル。
前作までにあったジャパニメーション臭が消え、純粋なアニメーションとして一段階進化した観のある一作。でもお勧めはしない。自分から観たいと思って観ないと、きっとこの作品(に限らず押井作品全般)は楽しめないから。