「魔法少女まどか☆マギカ(TVアニメ動画)」

総合得点
90.9
感想・評価
10595
棚に入れた
37490
ランキング
45
ネタバレ

cross さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

重苦しく重厚な物語は一見の価値あり、魔法少女と言うジャンルに新たな切り口を導入、近年最大の話題作と言っても過言ではない!!【総合評価:93点】

あにこれ内で知らない人っているのかな?
その位の作品で今更感はハンパじゃないですが、まぁ【新編】のレビューついでに書かせてもらいます。

2011年冬に全12話で放送された作品。
日本でのテレビアニメのBD売り上げを本作の1-3巻で歴代3位までを占める記録を残してていたり、『第15回文化庁メディア芸術祭』アニメーション部門の大賞、『第11回東京アニメアワード』テレビ部門優秀作品賞を受賞。
近年最大の話題性と言っても過言ではないのではないでしょうか?

更に2012年には【前編】と【後編】に分けて、TVシリーズを再編集した劇場版が公開。
翌年、2013年にはその後の物語を描いた完全新作となる【新編】が公開。
新編は、初日2日間で興収4億3600円、動員27万1279人を記録、映画観客動員ランキングであの『映画 けいおん』の記録を抜いて初登場第1位となっています。


魔法少女ものというジャンルに新たな切り口を導入、題名に魔法少女を冠してはいるが、世間一般の魔法少女ものとは異なって、魔法少女をモチーフにしたダーク・ファンタジーの傾向が色濃い作品。

序盤は『劇団イヌカレー』が描く独特なデザインの『魔女』その住処でもある結界である『異世界』が不気味な背景美術と言う点こそあるが、それこそ一般的な魔法少女ものを髣髴とさせる可愛らしいオープニングから始まります。
そしてキャラクター原案を担当するのが漫画家の蒼樹うめ、特徴であるとても可愛らしいキャラクター達が一般的な魔法少女もの作品としての雰囲気を醸し出し、第二話までは物語の展開も正統派の魔法少女ものの展開です。
しかし、序盤の展開は視聴者に一般的な魔法少女ものだと言う先入観を植えつける為の展開でしかありません。
物語は{netabare} メインキャラクターの死とい言う展開が描かれた{/netabare} 第3話を皮切りに、徐々に魔法少女となったキャラクター達に襲い掛かる苛酷な運命に焦点を当てた展開となっていきます。
魔法少女たちの決意や希望が挫かれ、精神的に追い詰められていく様を、シャフト特有の印象的な映像表現で描き、劇団イヌカレーが描く不気味な魔女を始めとする異空間のデザインも相まって、物語は完全に重苦しい展開となります。

あえて、序盤で正統派の魔法少女ものと言う印象を植え付け、そこから一気に重苦しい展開へのシフト、その落差によって一気に引き込まれてしまった方も大勢居たでしょう。
キャラクターと物語のギャップをこれ以上ないまでに効果的に演出し、シャフト独特の映像表現と劇団イヌカレーの演出で雰囲気を盛り立てる。
それぞれの特色を考えると異色の組み合わせの様ですが、全ての魅力が打ち消しあうのではなく、互いに相乗効果的を与える、まさに化学反応のようです!!
物語の衝撃度は勿論、12話のオリジナルアニメでこの完成度と言うのは正直自分のアニメ暦の中では飛びぬけた作品となっています。

そして、重厚な物語を演じるキャラクター達もまた素晴らしい。
主人公の鹿目まどかを主な視点とし、暁美ほむら、美樹さやか、巴マミ、佐倉杏子の5人の魔法少女と、マスコット的な外見をした地球外生命体であるキュゥべえを中心に展開されます。
全12話の構成で、大筋の話を進行させつつ、巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子、暁美ほむら、の順番で各3話区切りで、それぞれのキャラクターの魅力を描いていく構成となっています。
{netabare} 魔法少女は死亡という形で物語から退場していき 物語後半は、鹿目まどか が、主人公にも関わらず魔法少女にならず変身もしないという意外な展開に対し、暁美ほむら がもう1人の主人公としての役割を帯びるようになります。{/netabare}
重苦しい物語のギャップの為に可愛らしいキャラクターを使っているだけではなく、五名それぞれにしっかりと焦点をあて、一人一人の挫折や絶望をしっかりと描く事で魅力あるキャラクターに仕上がっています。

作画に関しては、正直好き嫌いが出るのは仕方ないでしょう。
TV放送版では作画のミスも目立ち、DVDやBDでは結構修正が掛かっていたりして、マイナスポイントではあります。
単純な絵の綺麗さだけを評価すれば平凡レベルですが、この作品の場合はその表現や演出に注目していただきたいです。
重苦しい雰囲気を更に盛り立てている表現方法や演出に関しては秀逸、シャフトと劇団イヌカレーのコンビの強さを実感です。

音楽面もBGMも物語の重苦しさや不気味さをしっかりと演出
OPは正統派の魔法少女ものを髣髴とさせる楽曲、ClariSの『コネクト』
EDはそれとは正反対にダークファンタジーにぴったりなKalafina の『Magia』
特に『Magia』は物語が重苦しい展開となった第三話で初めて流すと言う粋な演出もあって最初に聞いた時は鳥肌ものでした。


自分はリアルタイムで視聴していたので、毎週、重苦しい余韻を楽しみつつ一週間後を待っていました。
まだ未視聴だという方は一気に視聴して重厚な物語に浸るのも良し、ゆっくりと重苦しい余韻を楽しみつつ視聴するのも良し。
最近のアニメではかなりの話題作である事は間違いないですので、合う合わないは別として一度は目を通しておいて損はないと思います。

投稿 : 2013/12/28
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サンキュー:

81

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