「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(アニメ映画)」

総合得点
86.8
感想・評価
1961
棚に入れた
9954
ランキング
182
★★★★★ 4.2 (1961)
物語
4.2
作画
4.3
声優
4.2
音楽
4.3
キャラ
4.2

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ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

4転するストーリー。“叛逆“する”愛”のかたち

制作はシャフトのオリジナルアニメ映画です。
ジャンルは魔法少女ダークファンタジーです。
劇場に参戦してきました。


テレビシリーズのアフターストーリ。
暁美ほむらは一人、魔法少女として戦い続ける。
いつかたった一人の友達、鹿目まどかに会うために…


2時間というアニメ映画としては長い尺。
それに見合ったとても濃い内容でした。
これを本気で考察しようとしたらかなり大変そうw

本編は3部構成となっています。
テレビシリーズの続きから始まり、ダークな作風全開の展開、そしてアフターストーリーという流れ。
テレビシリーズ同様、急転直下でメリハリのあるストーリー展開でした。

ストーリーライン自体は若干難解ですが、訳わからんということは絶対ないと思います。
ほむらの心理描写がちょっと難しく、超展開気味になっていて複雑になっている感はあります。
ほむらの心理描写に関して、前半はとても丁寧で分かりやすかったのですが後半がいかんせん早かった。
終盤のスピード感は演出できているので、そこまでひどくはないような気もしますがね。
微妙にネタバレかもしれないので隠しますが、{netabare}なぎさちゃんの出番が少なくてちょっと悲しかったw{/netabare}

作画・音楽に関しては流石の劇場レベル。
まあ劇場版なので良くできているのは当たり前なのですが、シャフトがかなり頑張っているなあとは思いましたw
魔法少女との戦闘シーンはテレビシリーズなんて比べるのもおこがましいくらい迫力満点のぬるぬる映像。
カメラワークなどもufotableのような印象を受けました。
音楽も映画らしいクラシック調の荘厳なものが多め。
主題歌はおなじみのClariSとKalafinaですが、作品に合ったなかなか良い曲でした。
歌詞の意味を映画視聴後に考えると良いかと思います。


正直ネタバレなしではまったく説明できないので以下は見た人へのレビューです。
詳しいネタバレと感想。長文です。
{netabare}まずタイトルの「4転するストーリー」について。
この畳みかけは本当にすごいと思った。

まず序盤はいわゆる普通の魔法少女ものになっています。
誰もが幸せな夢のような世界。
まどかやら、さやかやら、キュウベエやら、お菓子の魔女やらがいるというカオス世界。
見当たった伏線はOP映像のほむら、先生の狂った宗教話が終盤のほむらに直結しているくらいかな?
途中の変身シーンとか見る作品を間違ったんじゃないかとw
近くで「プリキュア」やっていたので、それと間違えたかと本気で思ってしまったw

だんだんとこの世界がおかしいことに気が付くほむら。
実は誰かが作り出した世界だった。
ここが1転目。
戦闘シーンの凄さは前述済み。
マミさんは強いんだよっ!(私はマミさんが一番好き)
さやかが「魔女」という単語を使っていたのも以降の伏線ですね。

それを作ったのは誰か?
魔女化(正確には半魔女化)したほむらだった。
ここが2転目。
私は「まどかかぁ?」とか適当に思っていたのですが案の定外れましたw

魔女化したほむらをキュウベエが結界内で保存し、円環の理へと導かないようにしていた。
それはなぜか?
ほむらを利用し、概念と化した観察できない「鹿目まどか」を自分たちの手に落とそうとしたから。
そうしないと感情エネルギーを上手く回収できないからです。

それを防ぐために、ほむらは自分を呪うことで結界内に閉じこもり魔女になろうとした。
偏にまどかのために、です。
それを救うために魔法少女たちが戦う。
ここが3転目。
なぎさとさやかはほむらを救うために円環の理からやってきたということ。
そして神様まどかがほむらに手を差し伸べ、円環の理に導こうとする。

ここでまさかの衝撃展開。
軽く腰が抜けたw
ほむらがなんと神様まどかを堕天させます。
「ええええええええええええええええええええええええええええ」と思ったけど劇場なので叫べないw
ここが4転目。
彼女は悪魔と化す。
それはなぜか?
まどかと自分の世界で一緒にいたいから。
2転目するあたりのほむらとまどかの会話シーンを考えると十分に想定できるところではありますが、まあビックリするよねw
まどかは一人ぼっちになるのはつらいと言っていましたし、ほむらは選択をさせたことを後悔し始めていました。
自分を呪いすぎたこと、欲望に素直になってしまったこと。
彼女はもう駄目になってしまった。

自分で変革した世界でほむらはまどかに問います。
「秩序は大切だと思うか」と。
まどかは答えます。
「大切だと思う」と。
ここのやり取りが一話とダブって個人的に鳥肌が立ちまくった。
“秩序”を守るために概念になったまどか、“欲望”のために悪魔となったほむら。
“叛逆”を果たしたほむらは、まどかに“叛逆”されるのか?
ひどいよ…、あんまりだよ…。


とにかくこの作品はほむらの愛の重さにやられましたw
これはもうヤンレズといっていいのではないか?
愛が重いよw
良いように捉えれば、ほむらのまどかに対する一途なラブストーリーとも見ることができます。

まどかは魔法少女を救うために概念と化しました。
対してほむらは自分のためだけにまどかを自分の世界に閉じ込めます。
悪魔と言っていましたが、この世界での彼女は実質神です。
さやかの記憶を書きかえる描写からも分かるように自由自在。
果たしてこれが本当に彼女の望んだ世界だったのでしょうか?
また彼女は悩むことになるのでしょう。

でも気持ちは分かる。
あれだけの時間遡航をしているわけですからまどかを独占したい気持ちは分かる。
何といったってまどかのためだけに何度も時間遡航しているのですから。
それが概念になって、しかも彼女を自分しか覚えていないのですから。
二重で辛いことこの上ない状況でしょう。
それを考えると、テレビシリーズの時点で彼女は悪魔の原型ができていたのでしょうね。

“叛逆”という言葉がこういう意味だったというのは驚きです。
概念と化したまどかに対する“叛逆“。
本編もサプライズが上手かったですが、映画も上手かった。
とにかくこの作品は「魔法少女ほむら☆マギカ」だったとw

終わり方も非常に余韻の残る感じでした。
軽く放心状態になったのでw
本編は最高のバッドエンド、劇場版は最悪のハッピーエンドってところでしょうか。
実際、ほむらの作った世界はまどかが違和感を覚えているくらいで、冒頭と同じみんな幸せな世界ですからね。{/netabare}


総括して、個人的には超満足の映画でした。
私が「まどマギ」大好きなので評価が甘いような気がしますがそれはご愛嬌。
予測不能のストーリー、何度も見たくなる程よい難解さ、ufoみたいな戦闘シーン、劇団イヌカレーによる異空間設計、本編並みの鳥肌の立つ演出、良曲なOP・ED、斎藤千和劇場。
「まどマギ」を視聴しており、この世界観が好きな方は是非ご覧になって見てください。
私はほぼ絶賛していますが、賛否両論なのは容易に想像できますw
続編もやれないことはなさそう。

投稿 : 2013/11/02
閲覧 : 446
サンキュー:

74

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