jethro さんの感想・評価

4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

幸せになれるかも

八百万の神とか天照大御神とか
なんだか難しそうな日本神話をベースとした
奇想天外なエキセントリックとも言える設定
しかしテーマはいたってシンプル
現代社会が抱える、それこそ読み解くのがもっと難しい問題を
この小難しい日本神話をベースに置くことによって
非常に分かり易くなおかつ強烈な映像表現で
家族、学校、友達、といった
小さな社会における「個」の立場のあり方を問う

ひきこもりとなった神様・・・
なぜひきこもるに至ったのか?
神様というのは、いわば全世界、この世のすべてのリーダー
だから、神様はこの世を良くするために
「がんばらなければ」ならない
でも、本当にそうなの?
「困った時の神頼み」なんて言葉があります。
人間なんて勝手なもの「困った時」はじめて
「どうしてくれるんだよ!」とわめき散らすものです。
当然、自分自身の責任なんて棚上げ
そもそも「責任」なんてものはリーダーがいる以上
「自分には責任なんてない」などと
これこそ不条理極まりない発言に到ったりする訳です。
神が願うことは、そのまますぐに「世界改変」に繋がります。
それは、とてつもなく重要で大事なこと
重役クラスであるところの八百万の神々たちは
神の顔色を伺いながら、それぞれがそれぞれの意思で
それぞれの小社会の改変を行う
混沌としたこの社会の変化を見た神様は
「これも悪くはない」と思い
自分は余計な希望など、もたずに任せてしまって
ひきこもっていた方が幸せなんじゃないかと・・・

それでも、神個人の「欲求」は生まれてくるもの

「個」としての「欲求」を満たそうとしたとき
主人公は思いもよらぬ社会の障壁に、コツリとぶつかってしまいます。
学校に行くだけの勇気、友達を作る難しさ・・・などなど
そもそも「神の力」が影響してしまうため
問題はことさら大きくなってしまいます。
しかしながら
その影響で、グレーとも言える問題が
目視できるほどに色鮮やかに浮かび上がってきます。

「なるほど」思わずそんな言葉がポロリと転がり落ちる
そんな深イイ話です。