青陽 さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
最後までアニメ化してくりゃれ
私は「ロード・オブ・ザ・リング」とドラゴンクエストシリーズが昔から好きだ。
それは作品の持つ中世の雰囲気が私の心を掴んだからだろう。
街から街へ旅をしていくのも良い。どこまで行っても舗装された道、電柱、建物がある日本では味わえないものだ。
そのような魅力は「剣も魔法もないファンタジー」であるこの作品にも共通してみられる。むしろ中世の雰囲気に関していえば、「狼と香辛料」のほうがより魅力的に感じられる。
それは、同じ中世が舞台のファンタジー・ストーリーであっても、物語の目的が大きく違うからだ。
先に挙げた作品では、主人公である勇者が魔王の野望を阻止すべく旅をする。まさに王道のファンタジーだ。しかし、「狼と香辛料」は主人公が行商人であり、財産を稼ぎつつ、狼な女の子を故郷に送り届けるために旅が進んでいく。ファンタジーという分類ではあるが、商売が話の軸にあるので限りなく現実に近いのだ。
そのため、商売の舞台である「街」の様子、そこに住む人々の姿=日常の風景が殊更に詳しく描かれており、まるで自分もその街に行ったかのような気持ちになれる。
キャラクターも魅力的である。行商人として経歴が長いロレンスは、商売の取り引きにおける会話の駆け引きが上手く、頭の切れる人物だ。しかし、そんなロレンスも、ホロとの会話では軽々と手玉に取られてしまう。このやり取りが面白い。ロレンスが、今度はしてやったと思っても、結局はホロのほうが何枚も上手なのだ。
ホロの演技交じりの言動はとても魅力的で、観てるこっちもロレンスのように翻弄してもらいたくなる。
しかし、そんなホロが時折見せる寂しそうな顔…。普段はさんざんロレンスをからかっているホロがたまに見せるその弱い姿に世のオスたちはイチコロだ。
このギャップが彼女をより魅力的にしている。
そして、作品を彩る音楽も素晴らしい。OP・ED・BGMすべて気にいったときに☆5つの評価をしているが、この作品はまさにその評価に相応しい。
BGMは、活気に溢れた街のイメージが伝わってくる曲から神秘的で儚げなものまで、みな印象深い。
ARIAと並んでサントラを手に入れたい作品だ。
OP「旅の途中」
この歌を聴くと、DQⅠのフィールド曲を思い出す。
旅の どこか寂しい感じと、その先々で見られる世界の美しさが歌われた、アニソンの中でも屈指の名曲だと思う。
清浦さんの透明感ある歌声はかなり好きだ。
EDの「リンゴ日和 〜The Wolf Whistling Song」はOPとは打って変わって、とても可愛らしい曲になっている。お伽話のような歌詞と、それに合うデフォルメされたホロとロレンスの絵もかわいい。
だいたい一つの作品ではOP・EDのどちらかを好きになるけど、当時どちらの曲もヘビロテで聴いていたっけ。
ほんと「狼と香辛料」は、ラノベ原作のアニメの中でも特に出来が良く、好きな一作です。