「翠星のガルガンティア(TVアニメ動画)」

総合得点
88.0
感想・評価
2871
棚に入れた
14409
ランキング
135
★★★★☆ 3.9 (2871)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

しめりけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

〝人としての在り方〟というテーマについて描いたSF作品

●作品の概要

わずか1クールの短い期間で“人としての在り方"という深いテーマを描いたSF作品でした。
ロボットも登場しますが、あくまでもSF要素の1部という扱いで、ロボットモノではありませんので注意。

内容を簡潔にまとめると兵士である主人公レドが人々との交流から成長して“人としての生き方、在り方を学んでいく"そんな内容でした。
また、その途中にある異文化交流の様子も面白く、後半のSF要素にも目を惹かれる。そんな作品。
全体的にクォリティーが高く、充実した出来になっています。

【良い点】
○まずは世界観とその作りこみのレベル。壮大でありながら、1個の世界としてきちんと成り立っている。
○また、その世界に生きる人々もよく出来ていて人間味に溢れている。
○テーマを忠実に描ききった。詳しくは↓で。
○女の子キャラが超、可愛い。
○セリフにセンスがあって面白い。特に最終回。
○SF要素へのロマン。(チェインバーの多機能さ、世界の描かれ方が素晴らしい点)
○OPや日常生活内に調度良い伏線がちりばめられている。

【悪い点】

テーマを描くにあたって、1クール内に最低限でどうにか纏めていますが、
やはり2クールは欲しかった。4クールでも良くらい。
上手いセリフ回しなんかで1クールで深みを出す事にはそこそこ成功していましたが、
深みを増すところまでは達成できていませんし、特に後半の描写にはもっと時間を割ければ良かったのですが。
設定や世界観も凄まじい作りこみなので余計にそう感じます。

また、中盤からテーマ重視の内容にシフトした事で純粋なエンターテイメント成分が多少削がれてしまった事、
チェインバーがあまりにも最高過ぎたせいで他キャラが食われた点も惜しまれます。
ただ、終盤存在感の無かったエイミーですが、前半は良い仕事してくれているんですよね。
この物語が前半と後半に綺麗に分かれているのは良い部分でもありますが、
その辺の配分をもうちょっと上手く作れればストーリーは100点だったかな・・・と。

それからヒディアーズ絡みの「共存共栄」についての踏み込みが浅い点も
本筋からは外れますし、1クールなので仕方がないとは言え、マイナス要素。
あとは、基本的にレベルが高かったのですが、作画に軽いミスや粗が出てしまった部分も。

【テーマについての考察】
{netabare} この作品において、異文化交流やヒディアーズとの戦いの要素はあくまでもメインテーマへの通過点。
メインとなるテーマは人類銀河同盟の兵士レドがガルガンティア船団の人々と交流して“人としての生き方"を、、
ヒディアーズ・銀河同盟を巡るSFストーリーから“人としての在り方"を学び成長する所にあります。

1話レド「余計なモノを全て忘れ去る事でオレは兵士として完成した。」
最初の彼は兵士として敵と戦う事しか知らずに、ただ命令があればそれに従うだけの人間でした。

そんな彼が2話から6話にかけてガルガンティア船団の人々と交流し、
・海賊との一件から「仲間で集まって支えあって暮らす事」
・レドの職探しから「働く事=誰かの助けになる事」
・焼肉パーティなどから「1話レドが忘れ去っていた“余分"の重要さ」
・エイミー達を「守りたい存在と認識するに至る」
等をレドは学び、“人としての生き方"を学んでいきます。

7~13話でのヒディアーズの真相とストライカー戦にて
・思考する事を放棄したヒディアーズはもう人間とは呼べない、
・ただ頼って従っていれば良かった銀河同盟の考え方も人として間違っている
・チェインバー「思考と判断を放棄した存在は“人類の定義"を逸脱する」
等、直球で人の在り方を語っていましたよね。

それらを経て、チェインバーからレドへの最後の言葉。
「この空と海の全てがアナタに可能性をもたらすだろう。生存せよ、探求せよ、その命に・・・・最大の成果を期待する。」

つまり、「考えることを辞めずに一生懸命人間らしく生きろよ。」
ってな事をこの作品はわずか1クールで一切の無駄なく纏め上げてくれたのだと思う。

自分としては最終回のチェインバーの語りがもう、剛速球がど真ん中にキタって感じでそれだけで最高でしたね。
更にその直後に「くたばれ、ブリキ野朗」が入ってくるとか、もう反則です。泣きます。

{/netabare}

●評価

最高だった。そりゃ↑で書いたような惜しい・悪い点はいくつかあります。
が、そのくらいなんでもない程度には最高でした。これだからアニメファンは辞められない。
ホント、なぜ2クール以上でじっくりやってくれなかったのか・・・・。
そのおかげで、「視聴に使った時間に対しての面白さ」のコスパの優秀さも加味して「最高」だった。

※以下たまにある批判(?)意見についての余談―――――――――――――――
{netabare} ○鬱(?)展開について。
まぁ、9話の真相についてですけどアレってびっくり展開ってだけで別に鬱じゃないですよね。
脚本が虚淵さんってのをむしろ視聴者側が意識し過ぎなんじゃないかなぁ?と。

○レドが海賊を殺すのを躊躇わなかったのに、ヒディアーズに(略)について。

簡単にレドの思考プロセスを纏めると
・海賊の時はレドの中では「敵=殲滅対象」であり、更に「海賊=敵」とエイミーから聞き、
それらを前提条件として認識していたため、「海賊=敵=殲滅対象」となっています。

・しかし、ヒディアーズとの場合はそこまでのレドの成長から「敵=殲滅対象」に揺らぎが出ただけでなく、
知能の無い動物と認識していたヒディアーズが元人間だったと知った事で
「ヒディアーズ=敵」の大前提が崩れた事から動揺したのだと推察できます。
だから何もおかしくないと思うんですよね。
{/netabare}

投稿 : 2013/10/28
閲覧 : 373
サンキュー:

10

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