ぱるうらら さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ドロドロな物語
『君が望む永遠』はゲーム原作、1クール(全14話)の鬱系恋愛アニメです。
この作品は、基本的にドロドロな三角関係を描いた物語。アニメ版『WHITE ALBUM』を、もっと単純且つ分かり易くしたイメージを持ってくれれば良いと思います。また、メインとなる3人以外の要素を恋愛対象としては極力省き、そして人物の相関図単純化したことによって余計な展開へと脱線することの無い、三角関係にだけ焦点を当てた、ストーリーの流れを理解し易い恋愛モノとなっていました。
そして、この作品において注目すべき点は、やはり憂鬱な展開でしょうか。この鬱展開は、この作品を手掛けた『アージュ』の得意とする所で、この後の作品『マブラヴ オルタネィティブ』では、とある場面以降の鬱展開によって私は絶望のどん底に叩き落された事もあった程です。
それはさて置き、この作品の特徴の鬱展開についてですが、それを生み出したのは恋愛作品にありがちな【すれ違い的展開】でしょうか。
以前から主人公に恋をしていた2人のヒロインを背景に、その片方(A)が主人公に対し積極的好意を向けようとすれば、主人公の心はもう片方(B)に向かってしまったり、(B)が主人公を積極的に求めようとしていても、様々な事情で(A)に心が動いてしまったりといった流れが連続し、それでも主人公は二人を同程度に優しく扱ってしまうためにズルズルと泥沼にはまっていく。こんな流れが憂鬱な感じで展開されていきます。
上記を見れば、好意を選べないどっちつかずのヘタレ主人公とも取れますが、事が起こるタイミングの悪さや両者からの誘惑ゆえ、中盤まではそんな主人公も人間らしさとして受け止めていました。しかし、終盤での主人公の発言と行動に対しては、それまでの人間らしさと言って抑えてきた私の感情を上回るほどに呆れてしまった。「お前何しに来たんだよ、帰れよ。しゃしゃり出んな。」と気持ちが心の中を満たしてしまったくらいには飽きれました。
『誰にでも優しすぎる事は(時と場合によっては)残酷』と劇中で言っていましたが、まさにその通り。どちらを選ぶか心に決めたなら、選ばなかった方をあたかも好意が有るかのように優しく接するんじゃないよ!と思う。だが、恋愛モノにはよくありそうな展開ではあるし、その後の腐れの無いきっぱりとした別れ方、後腐れの無い展開は良かった。
『WHITE ALBUM』よりは観易く、展開もハッキリしているため、ドロドロな恋愛模様を描いた作品を御探しの人にはお勧めの作品。