ぱるうらら さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
この物語は推理を見るのではなく、話の流れを読んでいくもの
GOSICKはラノベ原作、2クール(24話)の推理系?アニメです。
この『GOSICK』というラノベは、『私の男』で第138回直木三十五賞を受賞した桜庭一樹さんが書いたものです。 桜庭一樹さんが2003年に書き始めた『GOSICK』は、ミステリー系・準推理系の原点なのではないかと思われます。(あくまで私の推測)
感想は後半部にて...
舞台は1924年の第一次大戦後のヨ-ロッパ。アニメにおけるヨーロッパの地図から、フランス、イタリア、スイスと接している『ソヴュール王国』という架空の国でこのヴィクトリカと久城の物語が展開されます。
ソヴュール王国には『オカルト省』というなんとも怪しげな官庁と「科学省」という2つの勢力が対立しています。とある魔術の禁書目録も同じような勢力図です。中世から現代まではオカルトと科学というのは相反するものであり、対立という形がヨ-ロッパについてのお話を書くことにおいて書きやすく、様々な発想が浮かびやすいのでしょう。
また、ソヴュール王国国内にある聖マルグリット学園は歴史ある建物であり、『ヨーロッパの秘密の武器庫』と呼ばれているそうです。元ネタは『ヨーロッパの火薬庫』と呼ばれたバルカン半島でしょう。
この物語は序盤、留学してきた久城とヴィクトリカが図書館塔の屋上階で出会いを果たしてから、<QueenBerry号>事件の再現によっての殺人事件、イギリスからの留学生アブリルとの出会い、ドレスデン皿の盗難事件と淡々とわりと平凡に話が進み、つまらなくはないが、面白味にも欠けていた。しかし、ここから久城とヴィクトリカの性格・心情・背景が薄々と分かってくる。ここは感情移入パート、クライマックスに向けての序曲である。
話が大きく展開していくのはその後。灰色狼の村(名もなき村)に辿り着いてからである。ここでは前の村長シオドアを殺害事件におけるヴィクトリカの母、コルデリアの無実を晴らす。このコルデリアという人物がキーパーソン。先の大戦においての重要な鍵を握っていたとも言える人物であった。
そこから、ブロワ(息子)が追っていた美術品密売事件のさらに裏にある人身売買事件、久城の過去、リヴァイアサン事件と続く。このリヴァイアサン事件から裏に大きな戦争の影が見え始める。まぁ、薄々と気がついていた人もいたでしょうね。
リヴァイアサンの錬金術に出てくるホムンクルス(人造人間)、賢者の石、などのワードは鋼の錬金術師を見ていた私にはその存在やどういった意味なのかを知っていたためにとても得意げというか、とても興味をそそがれました。 そして、やはり錬金術はとは大きな争いが背景にあるのでしょう。GOSICKにおいても鋼の錬金術師においてもどちらも争いが背景にありますから。 また、ブライアンの存在が段々と大きくなっていきます。
ここからはクライマックスに向けて一直線です。本当に面白いのはここからです。
『ベルゼブブの頭蓋』にヴィクトリカが連れて行かれるところから始まり、久城は『ファンタスマゴリア』に参加。ヴィクトリカを無事発見した直後に殺人事件発生。その後、『ベルゼブブの頭蓋』からの脱出、列車内での事件(オカルト省と科学アカデミーが直接的に争う)、線路に仕掛けられた爆弾の破壊。ここはストーリーにおいても重要で、また爆弾の破壊のシーンはBGMとマッチしており、素晴らしいシーンでした。
次に、コルデリアの過去(ヴィクトリカの誕生の秘密)、王妃(ココ・ローズ)殺害事件の真相。ここではブロワ侯爵の存在が大きくなってゆく。
そしてここからがクライマックス。
2度目の戦争(大戦)を望むブロワ侯爵は、人々に施しを与えた怪物である、『モンストル・シャルマン』をヴィクトリカとし、国王や民衆を戦意へと導くために利用する。またヴィクトリカ本人はオカルト省の地下に幽閉され、『オカルト兵器』という扱いをされていた。 この時点でもう戦争の灯火は消せない状態まで至り、ヨーロッパも第2次大戦は避けられない状況に。 まぁ、戦争の原因はソヴュール王国の他にもっとたくさんありますからね。
ブライアンの片割れによって救出されたヴィクトリカ。コルデリアはブロワ侯爵と剣を交え、ともに炎に包まれ…。 その後、オカルト省から脱出したブライアンの片割れはヴィクトリカはひと悶着あった後、何だかんだ言ってヴィクトリカを船に乗せてソビュールから脱出させた。 ちなみに久城は日本?へ戻り、前線で頑張って戦っています。
久城はあの戦闘シーンで戦死寸前までいった。彼の夢の中なのかよくわからないけれど、下半身が失くなっていて這いつくばっているシーンを見たときにはもうヴィクトリカに会えずに死んでしまうのではないかと…。
ヴィクトリカは船に乗って日本へ到着、久城に会いに来たが彼はどこにもいなかったため、諦めかけた直前、彼が現れ二人は一緒になることができ、無事ハッピーエンドで終えた。
灰色狼の村で予言されていた二人は離れるという予言は当たってしまい、久城とヴィクトリカは2度と会えずバッドエンドに終わってしまうと思っていましたが…ハッピーエンドでホッとしました。取り敢えず2人が再び結ばれてよかった。
ここから感想。
このアニメを最初に観たとき、久城とヴィクトリカは最終的に一緒になるだろうと予測していましたが、途中の展開でその予想は外れているのではと思わされていました。特に最後の方はバッドエンドにもハッピーエンドにも終われたので、あの二人が最終的にどうなってしまうかはとても気になっていました。 きっと筆者も私のような感情を抱かせようとしていたのでしょうね。
ヴィクトリカの久城への思いの寄せ方が回を増すごとに強くなっていくのを見ていて、見てるこちら側がヴィクトリカに惹かれてしまいそうでした。いや、もう手遅れだったけれど…。 ひとつ言えることは、ヴィクトリカが可愛い!!
あと、ヴィクトリカが真紅(Rozen Maiden)にそっくりでした。
しかし、最終話でヴィクトリカが銀髪になって、水銀燈に変化w
アブリルはあまりいてもいなくても良かったポジションな気がしました。まぁ強いていえばヴィクトリカの引立て役?
最終話の船の中のシーンで、ヴィクトリカはジュピター・ロジェに鉢合わせてしまったが、あの場面でロジェがヴィクトリカを見逃したのはなぜだろう? そもそも、なぜ彼があの船に乗っていたのかが疑問です。
このアニメはどんなジャンルかと考えてみると、推理・戦争・恋愛系と考えるのが妥当なのでしょうかね? そこにロリという成分を含むんでもいいかもしれませんが…。
全体的な作画もとても高い水準でした。 当時のヨーロッパの描写を良く再現できていたと思います。 いや、実際に現地で見たことがあるわけではないのですけど。
とにかく、私が鳥肌が立つほど良いと思ったシーンは18話の列車における最後の方のシーン、そして24話のコルデリアとブロワ侯爵の決戦、そして24話のFINのシーン。
GOSICKのOP・ED曲は全て良曲です♪ 私的には前半のED『Resuscitated Hope』が一番のお気に入りです♪
私はこの作品の虜となりました。 序盤がパッとしなかったために途中で挫折した人も多いと思いますが、私的にはオススメのアニメです。