シェリー さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 2.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
退屈、それがいい。
『空の境界』って題名いいですね。
物語はよくわからない状態で進めていく例のパターンです。
まあそれでいて最後まで観ても全てがわかるわけではありませんが。
サブタイトルにもある「俯瞰風景」
高いところから見下ろした風景のことをいいますね。
この映画では、それについての抽象的考察と
それが人にどう認識され、何をさせるかということを
登場人物たちの語りとストーリーで描写します。
映画自体は退屈です。
使われる言葉はあんま賢くないし、
扱うテーマについても大して掘り下げていないし、
カメラワークもじとーっとしてます。
だから、何がしたいの?って思いました。
でもいい退屈なんです。嫌いではないです。
作中に漂う重く、死がそこにあるみたいな雰囲気が好きですね。
もっともっとグロくしても良かったと思いました。
主人公の両儀式。
感情の起伏がほとんど見当たらないショートカットの女の子。
彼女が作中の最後で敵なるものと戦うシーンはかっこいいです。
ただ戦闘中の格好が(笑)
彼女は普段紺色の地味な和服で常に行動していて
それは別にいいのですが、戦闘に出かけるってなったときに
その上から赤いブルゾンを着るのですが、そのミスマッチたるや、、、
個人的にはアリエナイですw なんもかっこよくない。
この作品をイメージするならば
押井監督を尊敬した『攻殻機動隊』のオマージュみたいな。
扱うテーマの種類も作品の雰囲気もそれよりもグッと重いものですがね。
続きが楽しみな作品です。
{netabare}
目的のない、ある
前者が「浮遊」で、後者が「飛行」でしたっけ。
確かそんな感じでしたね。
黒桐くんはある二つのことを言っていました。
「自殺は甘えである」と。
もう一つは夢の話をしていたとき
「蝶は浮遊していて、飛ぼうとしたら死んでしまった。
飛ばないで、ずっと浮いていればもう少し長く生きていけたろうに。」
僕の個人的見解として
蝶があの病室の失明した女の子だとした場合、
あの子はずっと「浮遊」しながら人を殺していた。
事件解決後、彼女はトウコさんと話をし
自分の意志を働かせたとき、
まさに「浮遊」から「飛行」へとシフトしたとき、彼女は飛び降りた。
彼女にとっての「飛行」は飛び降りること、つまり自殺だったわけです。
これは黒桐くんの言うことが矛盾していることを意味しますね。
どういうことなのでしょうか。
強い意志と目的意識のある自殺を肯定しているのでしょうか。
死ぬならそれに意味を帯びさせ、メタフォリカルな死でも残せと?
それとも制作者側が自殺を完全に否定したくないのでしょうか。
まあ何にしても手前のことは手前で考えるべきですね。
余談
この映画についてあんまり思うことってないですね。
いや、戦闘シーンかっこよかったですし
バックサラウンドもエンディングもいいし
俯瞰に関する考察も面白かったけれど
語られる言葉もたどたどしく、深い意見みたいなものがありませんでした。
難しい語りを織り込むなら責任を持ってほしいです。
ただ「俯瞰」にあれだけの効力、脳への影響は本当にあるのでしょうか。
よく言われますね。人には空を飛びたいという潜在的欲望があると。
僕にはあまりピンときませんね。
けれどそれだけに「俯瞰」にはすごく興味が持てました。でもそれだけ。
映画としては未熟だと思うのですがなぜか好きです。
あの怠惰とは違うぐったりとした重い雰囲気や「俯瞰風景」が好きなんだと思います。
何度も観たいです。
{/netabare}