じょー さんの感想・評価
3.9
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 2.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
批判すべき点は多くあるが、感動できる傑作
非常に素晴らしい作品でした。ストーリーについては今更なにも紹介することはありません。特殊な技能を持つ人家族たち、夏希、佳主馬、主人公、詫助あたりの登場人物のここで来てくれという期待に対して、まってましたとばかりに参上するタイミングのよさ、ストーリーの完成度と、感動を呼び込む手法。日本のアニメSF史上に輝く大作かと思います。
若干、細田監督のデジモンアドベンチャーに重なるところもあるかとは思いますが、ストーリーの展開は見事で、テーマは非常にわかりやすい「家族の和解と協力」「共同体の回復」や「ネット世界の善意」などを全面に押しだし、涙を呼び込みました。物語の完成度も高く、SF的な齟齬はあまり見られず、デジモンより作品が練り込まれているなと感じます。
以下は反論を怖れずに批判ですので、お嫌いな方は読み飛ばしてください。
まず気に入らなかったのは声優。相変わらずの日本の映画界のプロとしての声優をバカに仕切った起用には怒りを覚えずにいられません。永井一郎とか上手いところで使ってるし、なぜそこまでして、主人公とヒロインがあれなのか。ジブリでもそうなのですが、10年、20年と残る映画になるアニメはそれなりの声優さんが仕事をしていると思います。後に見直して、この声優で果たして良かったと思えるのか、この映画に関わった人たちに小一時間問い詰めたい。
あとは世界観ですね。ネット上の仮想空間はうまくいかないことが分かったあとで、アニメという仮想空間の中の仮想空間になっていたので、少し入りにくかったです。敵キャラに関してもご都合主義的なものを感じました。
残り15分で、倒したと思ったラスボスが、最後の勝負でラスト2分の勝負をかけますみたいな展開は、近年のハリウッドで使われすぎてて、陳腐になりかけていて、あまりいただけないかなと。でもこうしないと佳主馬と主人公の活躍の機会がなくなるので、どうしようもないかな。
結局に人物の成長の点で、フォーカスが、詫助と佳主馬にばらついていて、結局に夏希と主人公はあまり成長してなくないかという気もします。
書いていて、批判の方が長くなりましたが、これだけの批判をふくみながらも非常に良い作品で、見る価値は十分にあり、他の人に勧められる作品であると思います。