STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
冒険ものの中で問う人権問題?
原作は未読。
いわゆる異世界ファンタジーものだが、この手の作品の多くが中世ヨーロッパ風のデザイン
イメージであるのに対して、アラビアンナイト的中東世界をモチーフにしているのがちょっと
珍しい。
当初はダンジョン攻略の冒険ものだと思っていたが、バルバッド編が話の中核だったせいか、
国の行く末を巡る一種の政治ドラマみたいな色が強かった。
このバルバッドの問題点は貧富や身分の差で、バルバッド編以外でも初回からモルジアナを
軸とした奴隷制を描いたりと、随所に人権や人間の平等性を問うような展開が多かったのが
印象的。
バトルものとしても割とひねりがある印象で、単純に敵=悪と言うより、敵が悪に走るに
至った心の問題に焦点を置いている感じ。
これによりドラマとしての深みは増した感じだが、ストレートでない分娯楽作品としての
カタルシスは得にくい感じ。
個人的にはダブル主人公であるアラジン、アリババより、モルジアナ、シンドバッドを始めと
するサブキャラの方に魅力を感じた。
特にアリババの心の問題を延々と描くのは、冒険ものとして見ているとちょっと疲れる。
それでもバルバッド編で救われたかと思っていたら、最後の最後でまた堕転するなど「まだ
引っ張るか」といった印象。この辺のくだりはアニメオリジナルの展開らしいが、ちょっと
やりすぎなんじゃないかと。
あくまで個人的意見ですけど。
この作品のキャラ名はアラジン、アリババを始め、モルジアナ、シンドバッド、カシム、
ジュダルなど「千夜一夜物語」からきているものが多い。
パロディ作品や一発勝負的な短編は別にして、ある程度の長さのオリジナルストーリー作品の
場合、キャラの名前はあまり既存作品の名前をそのまま使わない方がいいと思うんだけど。