銀くじら船ブリキ丸 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
戦国武将の男の美学「義」
戦とは男の命をかけて死に花を咲かせる、一種の見せ物のようなものです。
そこで嫌いな奴と相対して命を捨てるのは、自身のプライドが許さず、
主人公の直江兼次は敵味方になる男を(義と称して)選り好みしてると思います。
その男達と(親愛の情で)「義」という友情関係を結びます。
「義」があるから男を助ける、一緒に戦う、ライバルとして競るなど。
ただ世の情勢は天下人が掌握し、彼にある程度は臣従しなければなりません。
かと言って己の義を通し、天下人を拒む必要もあります。
「天下人に従う、そういう義(義理)はない」のですから。天下人から見れば反逆ですが、
そういう価値観で動くのが戦国の男です。命より大事な「義」のためです。
ただ実際にそれをアニメ化すると、兼次と前田慶次に代表される、男達の
怪しい友情、かつギャグです。
男と男の戦交渉、天下人との謁見など、風や花びらの風流な映像が入り、
「義の風」とか言われても、視聴者はピンと来ないです。(*_*)
ただ兼次の「義」はそこで終わりません。彼は信長・秀吉・家康と
ライバル関係にある上杉家の宰相です。彼ら天下人は無理難題を
吹っかけるばかりか、主君上杉景勝への義(忠義)を策を労して壊しに来ます。
上杉家や従者の活躍もあって、これらを退けるのですが、失う物もあったりします。
そんな深いドラマではないですが、兼次のやり切れない感情を上手く表現してます。
あとは兼次と関係ある女性キャラ。 身内に近いものですが見所です。(彼の奥方は出ません)。
また兼次の従者、槍持ちや忍者らが活躍する話を展開するなど脇役は印象的です。
従者にも兼次を選んで仕える義(義理)があります。
また戦の描写は佐渡や北条との合戦はありますが、少なめです。忍者の小競り合いは結構あります。過度にアクションに期待はできません。
視聴し終わると、兼次や従者や敵に愛着が湧きます。
彼らの「義」は何となく現代人にも通じるような気になります。
忙しい人向きではないけど、見て心地よい作品です。