北山アキ さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
本格推理の文法で構成された等身大の青春もの
原作未読
アニメでは珍しいような気がするアームチェア探偵型の本格推理。
(「本格」というのは難しいとか、複雑という意味ではなく、刑事コロンボみたいなジャンルの総称です。)
僕はもともと本格より冒険ものが好きだ。
結果から原因に遡及するより、結果が結果を生んでゆく展開が好みなのだ。
それに、本格ものには、毎回のように痴情のもつれとか、閉鎖的な家族や村社会の怨讐みたいなところに着地するというイメージがあり、食指が動かない。
だが、氷菓は殺人ミステリーではない。
日常の延長をミステリーに仕立てているのがよかった。
高校生という設定も、人物が揺れ動くという点で良かった。
(本格ものの名探偵やベテラン刑事は年季がすでに感受性が固まっていて、ただの事件の説明係に成り下がってる場合があり、トリックを楽しむ人にはいいが、人物を楽しむ人には退屈というケースがある)
超絶技巧のカラクリも能力者も無く、画面の動きも地味だが、
丁寧な語り口やきれいな背景画で引き付け、
解決回のほろ苦い後味でインパクトを残す。そんな作品。
難点を言えば、ヒロインがあまり活躍せず、
アニメ補正が入ってる(萌えうざい)感じで、
ちょっと苦手だった。