景禎 さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ここにいてくれてありがとう
ラノベのアニメ化作品。
今千秋さんが監督なので、OPやEDのアニメはいろんなものがクルクル回ったりして、のだめシリーズを彷彿させます。
ちょっと珍しい、大学が舞台のラブコメです。
静岡から上京し、東京の私立大学に入学した主人公多田万里。ひょんなことから知り合った柳澤光央の幼馴染のお嬢様、加賀香子といろいろあって、ああなってこうなる、みたいな、そんな設定。
よくあるラブコメアニメは主人公以外のほとんどが女子だったり、それもみんなかわいかったり、さらに有り得ないことには、みんな主人公に気があったり、そんなとんでも設定が多いです(もちろんハーレム系にはハーレム系の良さがあって、決して否定するわけではないですが・・)が、この作品は、そういう普通のラブコメものとは一線を画した作品に仕上がっています。
普通のラブコメ、と気軽に見ていられるのも4話ぐらいまで。5話以降、思わぬ方向に展開!!。
実は、{netabare}主人公多田万里は高校卒業直後に事故による記憶喪失となった。大学のクラブのリンダ先輩とは実は同じ高校出身で、高校時代の万里はリンダが好きだった。事故の前の日に万里はリンダに告白し、その答えを聞くために事故現場となった蓬莱橋でリンダを待っていた。そして事故に遭い、記憶を亡くした。{/netabare}ということが判明します。
{netabare}記憶喪失をテーマにするのは、まるでちょっと前の韓流ドラマか?と思いますが、この作品では、記憶喪失を、単に記憶を亡くしている状態としてではなく、記憶喪失前の人格が、喪失後の人格と入れ替わるという仮定の上で描かれています。物語りの中盤以降に、記憶を亡くす前の多田万里が、まるで亡霊か背後霊のように登場します。{/netabare}
さて、本当はわたしは恋愛モノが苦手で(ラブコメはギャグとしてなら見るけど)あまり見ないのですが、この作品は結構抵抗なく見ることができました。
物語の序盤で万里と香子は恋愛関係になります。まあ、言ってみれば「リア充爆発しろ!!」的展開なので、普通なら見ていてあまりおもしろくないのですがね。物語冒頭、香子をめぐる光央と万里のドロドロ三角関係か?と心配しましたが、それはすぐに解消。つぎは、万里とリンダと香子のぐちゃぐちゃ関係になるのか?と気を揉んでいると、それも杞憂に終わり、ほっと安心。恋愛ドラマに三角関係はつきものですが、私はそのドロドロ関係が描かれる作品が苦手です。でも、この作品ではそういうドロドロを描くことが目的ではないようですね。
大学生活には恋愛だけでなく、クラブ活動あり、友情ありですが、この作品、けっこうバランス良く描かれている印象です。
後半の2クール目に入って、前半のけっこう重苦しい雰囲気が、ちょっと軽くなったような印象を受けますが、それも束の間、{netabare}万里の記憶が徐々に戻りはじめます。つまり、設定上、事故後の多田万里の魂が事故前の万里の魂に取って代わられる、ということになります。そして最終回、ついに記憶が戻ります。事故後の万里が事故前の万里に完全に取って代わられ、それはすなわち事故後の万里の死を意味します。かなり重い内容になります。{/netabare}
最終回は見ごたえがあります。{netabare}事故のあった蓬莱橋の上のシーンはよくわからない部分ですが、事故後の万里は、はじめて事故前の万里(亡霊のようなもの)を認識することができるようになります。これはたぶん、事故前の記憶が事故後の記憶と合流したことの象徴だと思われますが、そのあと、事故前の万里が成仏するような描写があり、どっちが本当だかよく分かりません。{/netabare}でも、最終的にはみんなハッピーエンドへ。