「COPPELION コッペリオン(TVアニメ動画)」

総合得点
63.1
感想・評価
772
棚に入れた
3788
ランキング
4563
★★★★☆ 3.2 (772)
物語
3.1
作画
3.3
声優
3.3
音楽
3.3
キャラ
3.2

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ネタバレ

jethro さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

荒廃した東京のサバイバル

震災の影響で放送が延期となっていた作品
荒廃し汚染された東京を舞台に生存者探索のため街をサバイバルする
汚染に耐性をもつよう作られたコッペリオン(学生の姿)たちの活躍を描く
近未来サバイバルアクションの人間ドラマ

劇画調とも言える独特の作画で、不思議な魅力を放っており
極限状態に陥った世界の中で出会う人々のそれぞれの思いが非常に深い
それらに呼応する3人の女子高生たちの瑞々しい反応が
現代に生きる日本人としての私たちに大きな共感を呼び起こします。

事の発端となった「大事故」に関しては原作ではハッキリと
原発事故であることが明言されているようですが
今回のアニメでは、その具体的な言及は避けています。
・・・とはいえ、見れば一目瞭然なのですが・・・
舞台は、この事後の東京の街
生きていく価値そのものが風化しようとしている世界
3人の女子高生たちは何のためらいもなく救助活動にあたり
様々な人々と出会いますが
素直に「助けてくれ!!」と願い出てくる人物は一人もいない・・・
あるものは犯罪者だったり
あるものは極限状態に耐えられないまま人間不信に陥っていたり
また、あるものは、事故について責任言及を続け反旗を翻していたり
仲間となる人々でさえ、不信感からの接触が始まりでした
終わってしまった、狂ってしまった、そんな世界
そんな人々は言います。
「こんな世界にしてしまった人間を助ける価値があるのか」と

コッペリオン達の中からも放り込まれた絶望の世界を目の当たりにし
本来の目的を見失ってしまうものも現れます。
皆、バラバラ
人間社会において、本来、当たり前に存在するハズの「共通認識」
これが完全に崩壊してしまっている・・・

近年、私たちは災厄にみまわれました。
幸いにして、私は被災地の住居者ではありませんでしたが
仮に東京という街が、このような災厄にみまわれたら・・・
人の心というものは、きっとこんな感じに荒んでしまうのかも知れない
そんな風に感じました。

だからこそ、唯一、常に前向きな姿勢を示してくれる
委員長、成瀬荊(なるせ いばら)の姿に心打たれます。
イバラの道を、率先して先導してくれる、その姿は常に
「諦めたらイカン、まだ出来る事はあります。」と言ってくれる力強さがあります。
中途半端な関西弁も中々で、指導者として政治的側面での活動も必要という側面から
ただの関西弁ではなく、標準語まじりの関西弁となっているあたり
なかなか芸が細かい気の配りようでした。

多くの人々は、この荒廃した世界に寄り掛り
「こんな世界が悪い」
「こんな世界じゃなかったら」
「こんな世界にしたあいつらが悪い」とあがき続けます。
しかし、もうそれは既に起きてしまったのです。
いつまでも後ろ向きに歩み争い続ける彼らに
委員長は、正面から対話に臨み、
全ての人が望む「共通認識」を剥き出しにしていきます。

最後はなかなかスタンダードな結論提示でしたが
振り返らず、前を向くとは確かにこう言う事かもしれませんね

{netabare}こんな世界でも「生まれてきて良かった」と言ってもらえるようにしたい
その切なる願いを空(そら)と大地(りく)に誓うというラストシーンは
実に本作にふさわしい希望あふれる締めくくりであり
思わず感動の涙を禁じ得ないものでした。{/netabare}

個人差はあるとは思いますが
主人公3人のキャスティングはとても好感がもてました。
荊の戸松さんの標準語交じりの関西弁も素敵ですが
葵の花澤さんが透明感があってクラクラしちゃうくらい素晴らしい
コッペリオンらしからぬ人間らしさも手伝って
自然体で発言し動き回る姿は実に微笑ましかったです。

(最終回視聴後追加改訂)

投稿 : 2013/12/27
閲覧 : 231
サンキュー:

10

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