jethro さんの感想・評価

3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態：観終わった

乾いた感じがする作品

「とらドラ」の竹宮ゆゆこさん原作のラブコメ
きばって原作は最終巻まで(番外、列伝、外伝 含め)読破しました。
最終巻 第8巻 冬の旅 発売に合わせ
21話放送分では、きれいに7巻ラストにまで到達
続きはノベライズでもアニメでもという見事なメディアミックス展開がなされた作品

「とらドラ」と異なり本作は成就する愛よりも育む愛を中心に据え描かれる

原作読者としては双方の差異について語るべきなのかもしれませんが
これは個々の見方により、かなり偏りが出るのではないかと思いますので
至極個人的意見として述べさせてもらいます。
正直、アニメはアニメらしい表現と構成で対応しており
原作のイメージを損なうことなく表現出来ていたのではないかと思います。
ですから、不備があるとすればそれは原作側に存在するのではないかと思います。
ただ多くの原作物に言えると思いますが
こうやってアニメとして一つの作品を制作する訳ですから
手本となる原作をトレースするだけでなく
より素晴らしい作品作りに挑むべきだと思います。
そういう意味で言うと、冒険心の少ない作品だったと感じます。
言い換えると「原作通り」とも言えます。

このような書き方をすると
あたかも原作への不満があるようにとられそうですが
(実際、原作は最終巻発売後、賛否を呼んでいるようですが)
個人的には原作否定とまではいきません
やはり、多くの文字は、多くを語る事が出来る訳で
そういう意味では、アニメ側は圧倒的に不利な状況にあると思いますから

ただ双方において確実に言える事は
万里、香子、リンダという3人のキャラに焦点を絞り過ぎており
良い味出した二次元くんとか千波ちゃんがマキシマムに効いてこない
特にヤナオ・・・
サブキャラに関しては番外3冊において、より深く描かれているので
原作に分があるのですが、あくまで番外編や外伝なので
対象外に位置すると言われても仕方が無い
もっと剥きだした感情表現あるサブキャラとして存在してくれれば
色々見方が変わったかもしれません

アニメにおける決定的な不備は
キャラクター自体の表情がとても硬かった事
色んな事情は察しますが
予算による枚数制限が大きいように感じてしまうのは残念以外の何物でもなく
それゆえに作品自体の臨場感や全体の雰囲気が
かさついてしまったのは何とも虚しくて仕方ありませんでした。
作品自体は本来とてもウェットな作品だと感じていましたので
この点におけるアニメの表現が失敗してしまっているのは致命的だったかも
それにもめげず、がんばっていた香子役の堀江さんがとてもかわいそうでした。
万里役の古川さんに於いては、ちょっと荷が重すぎる役どころだったような気がします。
万里の演技如何によっては大化け出来た作品だったと感じてしまうのは私だけでしょうか?

とにもかくにも無事最終回、原作コンプ出来て良かったですね
最終回視聴後の話題が
香子なのかリンダなのかという話題で盛り上がっていれば本作は成功なのではないでしょうか
「幼馴染は救われないセオリー」に対し救済手段が必要だったかと言われれば
先に述べたヤナオのモブキャラ扱い加減に起源すると思いますので
そう言われても仕方ないかもですね

話は変わりますが
原作読んでいる方はご存知かと思いますが原作では飲み会のシーンが多く
飲んではやらかし、また飲んでそしてまたやらかす。
この繰り返して゛物語が進行していくので
「ありゃあ、こりゃ大丈夫か?」と一番気がかりでした。
なんといっても放送コードに於いては
フィクションであっても未成年者の飲酒は表現として御法度ですからね

しかし、見事に、気持ちいいぐらいバッサリ
飲んでない・・・

これは批判でもなんでもなくて
仕方のないことなんですけど

なんていうか、この毒みたいなスパイスが・・・
うーん
でも制作陣の皆さん、そんな規制にもめげずがんばっているなぁと
とにかくお疲れ様でした。

(最終話視聴後 加筆改訂)