「境界の彼方(TVアニメ動画)」

総合得点
86.5
感想・評価
3381
棚に入れた
18658
ランキング
197
★★★★☆ 3.9 (3381)
物語
3.7
作画
4.2
声優
3.8
音楽
3.8
キャラ
3.9

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jethro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

牛丼デート (OVAと劇場版PART:1を見て加筆してあります。)

2013年秋アニメの中では、圧倒的な品質とクオリティ
そして同時に、最も惜しい作品でもあります。

これだけのクオリティのアニメがTVシリーズとして
家庭で楽しめるなんて夢のようでした。
これは他のどの方も同意するところではないでしょうか
だからこそ、これだけのクオリティだからこそ
伝わってこないテーマや、見えてこない物語の主軸は
あまりにも歯がゆいものがあったのではないでしょうか

そもそも、どういった世界観なのか?
名瀬家って?
異界士協会って?
両者は何故争っているのか?
これを知るには
主人公たちを深く知ることが必要なのですが
主人公に関してもヒロインに関しても過去が謎のまま
決して明かされることが無く、いろんな「原因」が不明なので
当たり前ですが、何も解決しない訳です。

・・・これら全てを土返しにしても
その根本原因である「境界の彼方」という存在が
大き過ぎるというか・・・漠然とした存在過ぎて・・・

「境界の彼方」と主人公の関わりも最後まで不明
恐らく、その原因であろう秋人(あきひと)の父親の事は微塵も語られない
お母さんも話さないままどっかに行っちゃうし・・・
当然ながら他の登場人物達も、口をそろえて「わからない」となりますわな・・・
一視聴者が理解できるハズもない・・・・
これって「策士、策に溺れる」あるいは「本末転倒」ではないか?

「あれって何?」「さあね」「一体どうなっているんだ」
後半、登場人物達から連発されるセリフです。

最後の方では「でたらめなんです。」とか言ってますが
これって・・・そういうこと?・・ぇぇぇえ!!

冗談はさておき
所詮、設定や世界観なんてお飾り
まき散らされた伏線が回収されようとされまいと
本作に限ってはどうでもよかったです。

というか、そんなこと考えてみていたら、ちっとも面白くないです。
これって、ほんとはマズイことだとは思いますが・・・

本作における一番の魅力
それは、主人公とヒロインの稚拙で起伏ある会話の数々です。
「不愉快です。」も、あれだけ連発すれば
吉本の芸人レベル、「一芸に秀でる」って感じでしょうか

栗山 未来(くりや まみらい)は貧乏で常に食事に困っていて
しょっちゅう主人公 秋人(あきと)は、おごってやるのですが
それが、まるで唸る子犬に対して餌付けをしているようで・・・
いやはや、こんなヒロイン今まで見たことない!
対して秋人は、メガネフェチというかメガネ変態・・・
一体どんな組み合わせなんだ?

こんなヘンテコな二人ですが、別にフザケテいるわけではありません
いたって真面目にヘンテコ
それぞれに置かれた状況というのは
非常に切実というか、命もかかった重大事なんですが
二人のやり取りに、そんな切羽詰まった様子は全くありません
じゃれあっているというか、なんか、そんな感じです。
これは、馴れ合いとか、無意味とか、たわいもないとか
そういった意味ではありません
じゃれあっているって、見方によっては
すこぶる愛情あふれる行為だと思いませんか?
ふたりのじゃれあいは、物語の進行とともに
単なる愛情行為から、「支え合い」というものに変化していきます。
つまり「お互い居なくてはならないもの」となっていく訳です。

「告白」もないままに・・・
恋物語のプロセスには絶対的に必要不可欠な条件
そこを通過せずには、次の段階に行けないようなキーポイント

でも、皆さんご存じのように
本作に於いて、そんなプロセスは存在しません
デートもない、付き合いもしない、キスシーンもない
無い無いづくしですが

「そうだったっけ?」

「告白」も「デート」も「付き合い」も「キスシーン」も
それとは気づかないまま、確かにある
そう感じませんでしたか?
こう言った感性を分け与えてくれる「二人のやり取り」

「二人は恋愛関係には無いだろ」ハッキリそう言える人はいないと思います。

セリフや行為によって表現されない
メンタルなプラトニックとも言える二人の関係が
設定や世界観などといった形式を無意味にしていく様子は
そこはかとない、懐かしさを感じます。
プラトニックって・・・最近めっきり聞かなくなった

とはいえ
カウンターの席に座り、牛丼を食べる二人
実は最近のデートは、こんなんだったりするんじゃないかなぁ

この雰囲気が、たまらなく愛おしい
幼稚な言葉の積み重ねが初々しい
セリフでない生きた言葉
そんなセリフが満載の物語
こんな付き合いもイイかも、楽しいかも、そう感じさせてくれる佳作です。

ココより加筆分↓
「OVA#0と劇場版(過去篇)を見て」
この2つの話を見てようやく物語の骨格が見えてきます。
劇場版は過去編というより解明編的な内容で
TVシリーズを見ていて歯がゆく思っていた部分が緩和されます。
OVAと劇場版(過去篇)の新作プロローグ部分
そして意図的にTVシリーズから外されていた
名瀬 泉の追加シーンによって、不明だった部分が補完されます。
しかし、この中途半端な構成はどうなのでしょう?
TVシリーズ、OVA、劇場版どれをとっても中途半端
全部見ないと解らない・・・
美味しくTVシリーズを解明して見せた劇場版は特に悲惨
これ単品ではダイジェストすぎて全く楽しめないし意味不明
TVシリーズ見てなかったらもっと悲惨な目にあう
いやはや
プロジェクト自体の全体構成が的を得ていない
内容はしっかりとした土台と骨格を持ち合わせており
心打つ物語なのに、とても残念
ゆえに
OVAや劇場版の内容を含め
キチンと構成をし直した再編集版TVシリーズを希望します。
きっと名作の太鼓判が押されると思います。
時系列に並べて整理してもらうだけで構いません
お願いだから再編集してください!!
そして続く完全新作の劇場版第2作を楽しみたく思います。

(OVA及び劇場版(過去篇)視聴後加筆)

投稿 : 2015/04/13
閲覧 : 200
サンキュー:

11

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