plm さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
妖怪ペダル回し
少年チャンピオン連載漫画原作、自転車競技を題材としたスポーツ系アニメ作品。
「弱虫ペダル」というタイトルは軽いギアで回転数を上げる乗り方を作者がそう名付けたものだそうで、
主人公の性格はむしろ不撓不屈の鋼メンタルで、明るく前向きな作風となっている。
■丁寧な掘り下げと強烈な盛り上げ
主人公は根っからのスポーツマンというわけでなく、自転車競技に何の関わりもないアニメオタクで、
知識も、興味すらないところから始まるため同じ目線で観ることができて親近感を持てた。
スポーツモノで初心者を主人公にするのは定番だけれど、アニオタ要素(インドア趣味)を
自転車でアキバに通うことと結びつけて、ロードレーサーとしての資質を示唆すること、
つまりアニメへの情熱がペダル漕ぎとしての無類の強みとしていることに説得力があった。
人に負けない情熱を持っている主人公なら、新分野でも何かを発揮してくれそうな強みを感じられる。
その主人公の純粋な感性で、新しい分野での発見や体験の喜びが喚起されることが、
奇抜さはなくとも、丁寧な人物描写・解説といった掘り下げによって面白く感じられる内容だった。
これはスポーツモノとしての良さが発揮されていたということだと思う。
自転車"競技"モノに相応しく、ストーリーの要所要所で競い合う場面があり、
主人公の見せ場が必ず用意されていたので、大いに盛り上がる展開になっていた。
■インターハイが始まると、濃い面々も登場
序盤の頃は奇抜さは薄かったが、2クール後半辺りから一転してヘンテコキャラが続々現れ始める。
中でも御堂筋くんと泉田はキャラが濃すぎて、それが作品の大きな見所と化していた。
御堂筋くんの身体の可動域の広さはもう人間のそれじゃない。効果音もヤバイ。
主人公の小野田坂道も笑いながら後ろからハイケイデンスで迫ってくるあたり、
もともと画的には異様そのものだったので、いよいよ妖怪大全のごとき様相になっていった。
御堂筋くんができたときの今泉くんの表情がカイジみたいになってたり、
暑苦しいけど爽やかすぎる泉田との戦いは、もはやバトル漫画に迫る勢いのハイな表現で笑った。
もはやキャラアニメとしてやっていけるんじゃないかというぐらい、キャラ立ちが個性的。
泉田回は個人的に神回だったので、弱虫ペダルといわれたら、このシーンを見せてあげたい。
■レース展開への不服
{netabare} お話だからゴール前での競り合いだとか多少のご都合展開は良いんだけれど、
同着ゴールはよしてくれよ! 今後の展開踏まえての布石なのかもしれないけど、
同着はさすがにお話すぎると思ってしまう。というか競技で引き分けほどつまらん展開もないよなぁ。
それと体調悪いやつは棄権させてやってほしかった。根性じゃどうしようもないこともあるだろうに。
肉体的な問題も根性で乗り切ろうとするのは危険な考え方に思えて、どうにも腑に落ちなかった。
スポーツって精神面の影響がでかいのは確かだろうけど、行き過ぎるとリアリティが失われてしまう。
拮抗した勝負を描くなら、それ相応の納得感がほしかったところなのだけれど、
インターハイのレース展開はどちらかといえば展開ありきな感じに寄りすぎてしまってるところがあった。
あと主人公、坂道くんの活躍が見たかったのに、
箱学のキャラの回想が結構がっつり尺取るものだから、どうもテンポが悪かった。
泉田のときはレース始めでもあったので面白かったけど、描写の仕方がワンパターンなせいか飽きる。
バトルモノでもよくあることだけど、戦闘中に過去回想いれると戦闘が先送りにされるから邪魔やねん!
だからやるならレース中という意識から離れさせない範囲でやってほしいところだった。
強引にまとめるよりかいいんだろうけど、ずいぶん中途半端な所で終わってしまったし、続編待ちか。{/netabare}