景禎 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
やーぶれかーぶれの藪医者が~
漫画原作。日本のザ・田舎が舞台の小中学生女子の日常生活を描いた作品です。
1話冒頭、小学生が吹くへたっぴのリコーダーが奏でる、どこか懐かしいメロディーにのって、美しい日本の田舎風景と登場人物の日常の遠景が描かれます。これだけでも引きとしては充分なのに、「もしかしてうちは・・・・田舎に住んでるのん?」で止(とど)めを刺され視聴決定!
登場人物は、分校に通う学年の違う同級生5人と、先生、駄菓子屋を含む同校卒業生数人。ほぼ女子のみですが、ひとりだけ男子が出て来ています。この男子君、よく見るとかなりイケメン君で、5人しかいない全校生徒の中の一人で、2人の女子中学生の兄だったりして、本来ならかなり中心人物(アニメがアニメならハーレム展開もありうる)のはずですが・・・台詞がない。たまたまではなく、意識的に台詞がしゃべらせてもらえない。しゃべらないということで、かえって存在感が増してましたね。普通、女子ばかりの日常ものだと、男の視聴者として、どうしても入っていけないところがあるものですが、このめがね君のおかげで男を拒むバリアーがなくなってますね。
分校の同級生5人を中心に、キャラは立ちまくりです。世の中的にはれんちょんが人気ですが、ここは私も同意。小学校1年生につきものの、よだれくささが抜けないところと、成績抜群、抜群の絵のセンスや作詞や造語のセンス。言葉の端々に潜む皮肉の切れ味、そういうアンバランスなバランス感がいいですね。
さて、わたし的にはもう一人、あまり登場機会はないのですが、れんちょんの姉で東京の高校に通っていてたまに帰ってくるひかげ(ひかねえ)がお気に入りです。どことなく面倒くさそうな顔立ちはれんちょんと共通ですが、彼女のほうは平凡でどこにでもいそうな感じ。姉妹でありながら、ある意味れんちょんとは対極の性格。
分校の先生をやってる一番上の一穂を含め、宮内3姉妹は最強ですね。
舞台は日本の田舎ということですが、さて、具体的にどこがモデルなのだろうか?
語尾に「のん」が付いたり、女性一人称が「うち」だったりする地方は、日本にはかなり広範囲に存在しており、あまり手がかりにならず。
東京から新幹線を乗り継いで6時間。飛行機の利用も可能。この手がかりなら、かなり絞り込めます。東北北部から北海道、または中国四国九州あたり?
お正月のお餅は丸い。これで西日本に決定!
みかんを栽培。低い山に囲まれている。冬にはよく雪が降るが、雪国というほどでもない。ということで、中国地方東部の可能性が非常に高くなります。
海水浴場へ電車を乗り継いで行く。これで、海沿いではなく内陸であることが確定。
以上の状況証拠より、わたし的には、岡山県の鳥取県境に近い山間の村あたりではないかと勝手に想像してます。
作者さんによりますと、とくにモデルはないそうで、一般的な日本の田舎をイメージされているとのことでした。実際、モデルになった分校の校舎は埼玉あたりのものだったり、越谷を「こしがや」と読むなど、東日本の特徴があったり、乳牛を飼っていたり、狸が出たり、鹿や猪も出たり、と、特定の地域に当てはめると無理があったりします。
日常ものということで、どのお話も軽い気持ちで楽しく見られるのですが、中でも10話は特にお勧めです。見所はれんちょんの1歳頃の回想シーン。1歳児の動き、とくにしゃべり(言葉はまだしゃべれないので、言葉風の声なのですが)が絶妙。中でも、ボーロを駄菓子屋にあげるシーン、1歳児のよだれくささ全開。「あーん」の「ん」が言えず、微妙な発音になっているところなど、芸が細かすぎる。声優の小岩井ことりさん、実際に1歳児をじっくり観察して研究したんでしょう。グッジョブです。
4話も結構いいです。{netabare}近所に同年代がいないれんちょんにとってはじめての同い年の友達。ふだん年上ばかりの環境で大人びているれんちょんの、本来の子供の一面を見ることができます。別れのシーンは、おとなの事情に振り回され、それを受け入れざるを得ないこどもの無力感みたいなものを思い出させてくれました。{/netabare}
れんちょんが使う「にゃんぱすー」という挨拶風の言葉がアニメ流行語大賞に選ばれたそうな。この言葉、アニメでは1話で連発する以外では、前半はあまり聞く機会がありません。予想外の反響に製作側が驚いて(かどうかは知らんが)、後半では使われていましたね。
いずれにせよ、日常系をあまり見ない私が言うのだから、今期イチオシのアニメであることには違いありません。