りく さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
狸と人間と天狗が織り成す人情劇。しっとりと心に沁み渡ります
原作未読。「四畳半神話体系」などでおなじみの森見登美彦の作品。
個性溢れる狸4兄弟、神通力を得た人間、腰を痛めて飛べなくなった天狗の3陣がメインとなって、なんとも言い難い味わい深さのある物語が繰り広げられます。
クスクス笑えるコメディ要素をたっぷり含みつつ、家族の温かさや種を超えた交流を描いており、じんわりと心に沁みる素敵な作品です。徹底した家族愛には毎回ほっこりさせられました。
その一方で終盤では、序盤のまったりさからは想像できないほど緊迫した展開になり、続きが気になって仕方ありませんでした。
あと、ころころしてる狸たちがすごく可愛くて和みますね~^^
{netabare} 金曜倶楽部の教授は最初不気味に感じました。「狸は言葉を話せる」ということを知ったうえで食べてしまったというのは、ちょっと信じられませんでしたね。言葉によるコミュニケーションが可能な存在を食べるのってどうなんだろう……。
最終的には情が勝ってサクッと持論を捻じ曲げましたが、純度100%の掌返しっぷりに清々しさすら感じてしまいましたw
どーんと構えているお父さん狸。「やりたいことは十分にやったから人に食われてもいい」と言っていました。実の弟に裏切られたにもかかわらず、その運命を受け入れて穏やかな最期を迎えましたね。この潔さは見習うべきところがあります。
8話で赤玉先生と別れのあいさつしたときはホロっときてしまいましたよ……(´;ω;`)ブワッ
ラストは、矢三郎があの修羅場をどうくぐり抜けるのか楽しみにしていたので、ドタバタで終わらせちゃったのは少し残念かな。この作品らしい騒がしい終わり方ではありますけど。
あとは、あれだけ悪事を働いた早雲が雲隠れしたのは悔しいですね。それ相応の報いを受けてほしいものですが……。
弁天も、結局は面白い事が好きなだけの悪女ってことなんでしょうか? 父親殺しに加担しておいて何食わぬ顔で接し続けるんだから大物ですね^^; あんまり好きにはなれませんが、物語をひっかきまわす役割を十二分に果たしてくれました。{/netabare}
いわゆる雰囲気アニメに分類される作品であり、合う人は合う、合わない人は合わないとはっきり分かれると思いますが、試しに1話だけでもご覧になってみてください。笑いあり、涙ありで、私の中では極上の雰囲気アニメになりました。
原作はたぬきシリーズとして展開中で、現在は2部が連載されているそうなので、文庫化されたら読んでみたいです。面白かった!