HAL. さんの感想・評価

4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

ポジティブに支配された世界観。

主人公がすごくヘンだ。
まず、人間性が皆無。
物事の価値判断のなかに「悪」ってのがない。
仲間のことはちゃんと仲間として扱うが、敵を敵と思ってない。
目の前で不幸が起こっても、動揺が見られない。
仮に仲間が殺される展開になっても、
主人公が泣いたり怒ったりする姿が想像できないくらいに、感情の起伏がない。
というか、常に前向きな感情しか見られない。

作中では、周囲の仲間の葛藤や後悔についても描かれるだけに、
いっそう主人公の異様さが際立っている。

世界も何かおかしい。
SNSでみんなが助け合うことで、
ハッピーしかあり得ない世界が形成されている。

そして、こうした究極のポジティブ状態が、
外部からの働きかけによりすこしボタンを掛け違えただけで、
みんなが自分勝手な振る舞いをしだして、恐慌状態に陥る。

しかし最後は、
主人公たちの小さなアクションをきっかけとして、
SNSが幅をきかせるポジティブな世界に戻っていく。

めでたしめでたし。なのだろうか？？

正直なところ、このアニメは物語の体をなしてないと思う。思想がかりすぎてる。
どこかの政党や宗教がお金出して作らしてるんじゃないかと思うくらい。
（もちろん、そんなわけないけど）

メッセージに合わせてキャラクターが踊らされている。
そんな印象を強烈に受けた。
人工的で作り物めいたキャラデザインにも意図が感じられる。

物語というよりは、アートに近い。
アニメなら当たり前にあるはずの視聴者への配慮がなく、
こっちが勝手に見て楽しむもの、という感じ。

心揺さぶられるが、けっして気持ちのいいアニメではない。
これから見る人がいたら、見るタイミングは、
すこし考えた方がいいと思う。

個人的には、金曜か土曜の夜から朝にかけて見ると、
何かいろいろ鬱々できて良さげだな、と。