2S-305 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
こけると痛いがサンライズアニメエッセンス満載の意欲作
2期開始前に復習がてら視聴。
宇宙都市における中立国ジオールの「モジュール77」で普通に暮らす高校生「時縞ハルト」とその幼馴染「指南ショーコ」、元アイドルの後輩「流木野サキ」、それにドルシア軍のエージェントである「エルエルフ」らを交え、不条理な戦争に巻き込まれていく少年少女が、孤立していく環境の中、「ヴァルブレイヴ」がもたらす異能の力と「エルエルフ」の智謀によって生き抜くための戦いを行う中での苦悩・葛藤・愛憎を描くSF青春ロボット漂流ファンタジーオリジナルアニメ。
一見して美しい作画で、キャラクターデザイン、メカニカルデザイン等もなかなか良いのではないかと思います。
ストーリー・設定については、一部でSEEDやコードギアスのパクリだのなんだのと言われておりますが、そもそも既存のサンライズ作品のエッセンスを積み上げたわけで、あえて「ガンダム」等の冠名を課すことなくオリジナルアニメにこだわった意欲は称賛すべきで、要は「面白いか、面白くないか」ということです。
はっきり言って、ユニコーンを除く最近の有象無象の乱造似非ガンダムよりは私はよっぽど面白いと思います。
ここからは好みの問題だと思いますが、序盤から人が死にまくり、その中で主人公たるハルトが激情に駆られたとはいえ自らの手を汚して「人を手にかける」描写などがありますが、最近ありがちな下手な演説ときれいごとばかりの主人公よりははるかに良く、肝心の物語については、「先を読ませない」斜め上の展開で次から次へと謎めいた布石が投じられまくり、興味をそそる展開となっており、天然健全少女の「ショーコ」、鬱積した感情を内包する「サキ」の両極端な少女たちと主人公との関係もかなりドロっとした展開になりそうで、この辺りは「無限のリヴァイアス」ばりの極限状態下における心情描写などを交えたきれいごとばかりではない濃密なものになると見ごたえが大きく増すので、もう一歩踏み込んで突き抜けてほしいところです。
一つ大きく気になるのが敵性勢力の描写で、その背景や目的の描写がコードギアス等と比べると乏しく、いまひとつ盛り上がりが欠けてしまう大きな要因となっており、そのため、戦闘における戦略的な面白さというのはほぼ皆無となってしまっています。
また、戦闘時の演出が少々稚拙でもう少し何とかしてほしかったように思いますが、それでもやっぱり「サンライズ」と思わせる戦闘シーンもあり、カーミラのステップ特攻シーンなど「魅せるアクション」はツボを心得ている感じでなかなかのものでした。
2期目を作成すること前提の作品であるため、謎はふくらむばかりで、「あれ?これで終わり?」っというような終わり方ですので作品の真価は2期に委ねられることになりますが、1期については、毎回興味をそそるエピソードが提示され、見るのが苦痛になるようなことはなく、「サンライズアニメの一つの集大成」と言わせるまでの作品になる可能性も秘めてはいますが、「寄せ集めの凡作」となる可能性も否定できず、今後の展開が非常に気になる作品ではあります。
1期の率直は感想は、「普通に面白い」SFロボットアニメで、2期での大きな飛躍に期待したい作品です。