「ファンタジスタドール(TVアニメ動画)」

総合得点
60.9
感想・評価
417
棚に入れた
1938
ランキング
5658
★★★★☆ 3.4 (417)
物語
3.1
作画
3.4
声優
3.5
音楽
3.4
キャラ
3.5

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

タイトルなし

どう考えても出来は悪いのに、何故か嫌いになれない作品だった。
いや、かといってもう一度観ようと思うほどではないのだけどw


人間のキャラクター性。
ドールが主役っぽいけど、この作品はドールよりも人間のキャラクター像が面白い。
うずめは自称「どこにでもいそうな普通の女の子」らしく優柔不断で周りについつい合わせてしまう子だけど、ひるがえってそれは友達を気遣う優しさゆえであり、決して彼女は、自分が傷つきたくなくて合わせているワケではない。
実際、会って間もないささらを一としたドールらを「友達だから」の一言で身を挺して庇う面が何度かあった。
友達のことを大事に思うがゆえに、彼女は何度も悩み、そして、答えを見つけていくのだ。なんだかんだで彼女、メンタルは相当強いと思う。かがみ説得のシーンなんて、あれ完全に主人公だったよね。(もっとも、彼女が昔の長所を取り戻してくところも中々に唐突だったんだけど)

突然ドールなるものを押し付けられ(しかもそのドールはまったく言うことを聞かず好き勝手に言い放題やり放題)、頑張った挙句に先輩に利用されてしかもドールからは伝説の不採用通知を言い渡されるわ、散々な目に遭って、それでもめげないうずめちゃんは良いキャラだと思う。

うずめの仲間となるかがみ、まないのキャラクターも良かった。かがみとの衝突と和解は、うずめに多大な変化を促したし、うずめがどうしようもなくなった時、駆けつけてくれるこの二人とうずめとの間に結ばれた友情はすごく健全で、微笑ましい。

ゲストキャラのマスターとドールは色んな主従関係の形を見せてくれたし、ラフレシアの君は毎回ネタを提供してくれて飽きなかった。(見守っているよと1話で言ってたと思ったら、見守る距離がすさまじく近くて笑った)
作品の雰囲気が重くならない程度に狂気に走ってた圧倒的ラスボス感の小町さんも良い味出してたと思う。この人表情が完成されてて微妙に怖かったんだよなぁ。


で、ここからは欠点。
細かい矛盾や粗が、山のようにある。塵も積もれば山となるとあるけど、まさにそんな感じ。
で、本作の場合、終盤という大事な場面でもそんな矛盾や疑問点が少なくなかったのが痛い。

まずこれは個人的な不満点なんだけど、ささら達ドールの成長というのが皆無であったこと。
劇中にて小町の目的は、成長したささら達を回収することだったけど、そもそもささら達がどのように成長したかがまったく伝わってこない。
ささらは、前のマスターにウソを突かれ、裏切られたと思い込んでいる。だから、2話にうずめに突っかかったのは完全に八つ当たり。別にあれは、まないを思っての発言ではない。
そしてこれに限らず、ささらは問題が挙がる度にその責任や対処に対して「あんたマスターなんでしょ」の一言でうずめに全てを押し付ける。挙句、そのうえで出したうずめの答えにいちゃもんをつける。お前意地汚い姑かよ。

こうした、相手のことを考えない傲慢さと口が過ぎるところはささらの欠点だった。なので、ささらが成長するということは当然、この辺りが改善されることを指すはずなんだけど……劇中ではそんなシーンはなかった。
一番分かりやすいのはささらだったんだけど、他の4人も【なにがどう成長したのか】が不明。

そもそも、ささらとうずめが何度も衝突することになった原因は、【互いに求めているものが違う】からだ。うずめはささらのことを友達と思っている。だからこそ、一つの問題に対してすごく悩む。自分の判断で友達の身の振り方や危険が左右されるのだ。悩まない方がおかしい。
一方、ささらはうずめに対してマスターであることを望んでいる。(そのくせ不満ばかり垂れるので、こいつはよく分からん。考えるだけ無駄なレベル)
だから、この求めている関係性の相違に気づき、お互いが合わせていかない限り、二人の絆はあやふやなままなんだ。

でも結局、その関係性が変わることはなかった。本当ならうずめが小町に「ささら達は自分の大事な友達!」と明言した時点で、ささらはうずめのことを「うずめ……」と言わなければならなかったと思う。マスターでもうずめさんでもなく、うずめと。
ここではなく、最終回のBパートが終わる間近になって「うずめ」と呼んだけれど、タイミング的に違和感しかなかった;


で、他には不明瞭な点が多いことも不満に挙がってくる。
小町がささら達を捨てたのは「自分ではささら達を成長させてやれないから」だけど、じゃあなんでその後ソネットという新しいドールを手に入れたのか?
ドール全員に成長の可能性はあるのに、何故ささら達でなくてはならなかったのか?
かつて小町のドールであったアロエがスルーされてるけど、つまりアロエはガチで捨てられたってことでOK?
研究所のロックされてた部屋がスルーされてるんだけど、二期に期待していいの?
ドールの有効範囲って結局、どのぐらいなの?(バイト回でみんなバラバラに行動してるかと思いきや、文化祭では学校内でも有効範囲外になってたし……かと思えば有効範囲拡大のカードが今更ってタイミングで登場してくる)
一介の高校生でしかない小町さんがどうやって組織を作り、人の希望を叶えてきたの?


挙げだすとキリがないのでこの辺で。


不満点は多いのだけど、結局、最後まで楽しんで観てしまった。一部のキャラ(ささら、しめじ、マドレーヌ。とくにしめじ、なにをのうのうとうずめの所に戻って来てんの?)を除けば、愛すべきバカばっかりでバカなノリなので、面白い作品ではある。
ドール召喚だけに朝から夕方まで特訓するとかシュール過ぎるし、サバの衣装がサバ臭い意味が分からなかったり、様子のおかしい友達に対して「きっと操られてるんだ」と漫画の読み過ぎな発言をして実際に当たってたり、自身はウソ泣きで騙したくせに次の回で「嘘と裏切りが大嫌い」とのたまって視聴者を唖然とさせたり、「どうせいつか捨てるんでしょ!」と悲劇の子を気取ってた子が後に笑顔で主人公のことを捨てたり、必殺技にドラムロールが欠かせなかったり、大事な話の時にカレー食ってたり、大事な話の最中に福神漬け買いにいかせてたり、ポーカー勝負で母親が参戦する必要がまったくなかったり、手は強いのに頭脳戦が弱すぎるアンヌさんが可愛かったり、ラスボスとの決戦時にスタジアムを貸し切ってたり、もうキリがないわ。

でもなんだかんだ最終回は良かったりするし(かがみとまない参戦からの三人での協力技はワリと熱い展開だった。タイプゼロの圧倒的強さも含めて)、ギリ好評って感じかなー。整合性はともかく、最後二話は結構などんでん返しだったし。(もちろんラスボスの正体に意外性はなかったうえに、酷い掌返しもあったが……)
二期があれば、多分観てしまうかも。……アロエちゃんが出てくるなら←

……ぶっちゃけ、ドールとの絆よりもカード部の友情の方が数段良い出来だった時点で、作品としては失敗なんだけどね。

投稿 : 2015/07/23
閲覧 : 224

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