退会済のユーザー さんの感想・評価

4.0
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

タイトルなし

面白かったのは間違いないのに、どうしてもモヤモヤが晴れない……。アニメを観たことに後悔はない。むしろ、アニメよりも先に原作を知ってしまっていることを後悔してしまう、そんな作品だった。

このアニメの原作は、【ストーリーとキャラ描写が半端なく巧いギャグ漫画】だ。
テンポが良いうえにネタも面白いギャグを堪能しているうちにさり気なくストーリーが進行していく。気づくとキャラのギャグとストーリーのどっちもが気になって、「次を読みたい」って気持ちが、それはもう凄いことになるんだ。
おまけに、ストーリーの進行によって変化していくキャラの関係もまた、面白い。とくにサヨとか。

この作品をアニメ化するにあたって、多分、1クールという期間もあったから、スタッフはストーリーの部分に注目してもらおうと思ったんだと思う。
原作ではある程度四コマに読みなれた人でないと気づけない美点を、より分かりやすく、視聴者に知ってもらおうと考えたんじゃないかなぁ。
その結果、確かにストーリーは分かりやすくなったし、見応えも増したと思う。

でも、そのしわ寄せがあちこちにいってしまっている。
まず、ギャグのテンション。
先にも触れたけど、原作はあくまでもギャグがメインであり、ストーリーは読者を飽きさせない為のスパイスでしかない。
アニメという媒体は視聴者一人一人でテンポを調節できないので、その分ストーリーのもつシリアス成分を強くするのは分かるんだけど、そのせいでギャグがいくつか死んでしまっているんだ。

例えば、重要なエピソードの合間にも当然ギャグは行われてるんだけど、いかんせんシリアス時だから、BGMがシリアス用のままだったりする。そんな音楽の中でキャラがギャグをやったって、笑えない。マキがりんごをぶちまけて何がなんだかって顔をしてるシーンなんて、原作の時は凄く笑えたのに、アニメだと、こう、「えっと、ここ、笑っていいんだよね……?」ってなる。なにせ音楽がシリアス調だから。

この作品の凄いところは、シリアスな部分もまとめてギャグとして魅せてくるところだ。(と、僕は思ってる)
シリアスをシリアスに魅せるのは簡単。だからこそ、もう少し演出に関しては頑張って欲しかったというのが本音。キャラの深刻な表情(瞳から光が無くなるとか)は、シリアスで必要なんじゃない。入れるにしても、それをアップで映してきていかにも「シリアスですよ!」っていうのは、なんか違うと思うんだよなぁ……。
ギャグとシリアス、ではなくて、ギャグの中にシリアス、であって欲しかった。
ストーリーを魅せる。それは良い。でも、シリアスで魅せる、のはなんだか違う気がする。
他にも、無駄にシリアス面を強調させたせいで、序盤の生徒会会議の時のモブの囁きが下種く聴こえてしまったし(原作ではマキの泣き顔をコメディちっくに描くことで緩和されていた)、終盤に現れたモブの男子の発言も必要以上に無神経さが際立ってしまって印象が悪い。


不満ばかり描いたけど、決して面白くなかったワケではない。なにより本作は、キャストがほんと良かったよなぁ……。よくもまぁ、これだけピッタリなのを集めてきたもんだ。素直に驚いた。
女の子が可愛いだけのアニメよりも断然面白かった。それは間違いないし、キャラの変化自体がおざなりだったワケでもないから。