ぱるうらら さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
急ピッチな女神篇
神のみぞ知るセカイ 女神篇』は漫画原作、1クール(全12話)の学園ラブコメアニメです。
エロゲーによる知識と経験を用いてリアル女子を攻略することをコンセプトとしてきたこの作品も第3期。しかし、第2期と第3期(女神篇)には大きな隔たりが存在する。それは、第2期終了時から女神篇突入時までに存在する『月夜・みなみ・スミレ・(梨枝子)・七香・結・檜・灯』の計8人の攻略を無情にもすっ飛ばしたからだ。巻数で言えば第5巻の"長瀬 純"攻略後から第12巻の"倉川 灯"攻略までに渡る。面白いエピソードも沢山あったため少々残念だ。最悪でも、月夜編と結編だけでもあれば良かったのだが。故に、この第3期女神篇の視聴者には是非原作の方も読んでもらいたい。
不満な点を最初に述べたが、それでも今回の第3期の完成度は大変素晴らしい物だった。そもそも、この女神篇とは原作第13巻から第19巻までに渡る長編ストーリーである。放送枠はたった1クール。どう考えても尺が足りないと思っていた。しかし実際は、話の展開はかなり急ピッチではあるが、上手く原作の内容を省略・カットしているため、内容省略による説明不足や違和感をあまり感じさせない。1クール作品としては上々の出来だ。また、悪魔(ヴィンテージ)の側の目的や各女神付きヒロインの攻略過程、登場人物の、特に主人公の心情の変化等の要点は抑えていた。だが、主人公のヒロイン攻略に関しては徹底的に無駄が省かれていたため、攻略のテンポが少し速過ぎたとも感じる。加えて、アニメでは月夜や結は今期が初参戦。だが2人(+1人)の紹介もたった数分のみ。結局、物語の尺が短過ぎて彼女らの人柄を理解せずに話を観進めていった方も多いだろう。その点では原作既読者を優先した感じは否めない。
だが、女神編は原作でも話題になったほど好評の長編。それ故原作既読者目線になるが、原作の女神篇に基いた今回の物語はなかなかにして面白い。各話の起承転結がしっかりしているので苦なくスラスラと視聴ができ、さらにアニメ独特の間合いや雰囲気は、原作を読んだ私にもより一層楽しませてくれた。
その内容についてだが、中盤に駆けては、女神の入っている子や女神自信の桂木に対する反応が見所。女神の中では"月夜"・ウルカヌス"ペアが一番輝いていたと個人的には思う。そして、今回大活躍のハクアさんに関してだが、原作における登場場面やエピソードを大幅に改変・省略されたため、周りに振りまわされていただけのキャラに見えて少々残念。終盤になるにつれて物語はぐんぐん盛り上がっていったが、最終話における「条件付きで答える」という主人公の発言の回りくどさが、雰囲気を少し盛り下げていた気がした。しかしその後は、主人公の表情や会話のぎこちなさ、光の演出等がクライマックスに相応しい儚い雰囲気を作り出した素晴らしいシーンを描いている。この終盤付近は原作未読の人の方が楽しめたのかも知れない。
終盤の展開は内容を省略せずに話を進めたため、比較的綺麗な形で物語は幕引きした。しかし、やはり物語のテンポは速かった。速過ぎた。怒涛の女神回収だった。
話変わって、今回のOPはハクア役の"はやみん"が担当。LiaやELISAを髣髴させる長い長い英語歌詞の歌(OPとして流れたのはextra ver.)だが、過去の神のみOPの流れにも沿った良い曲だった。はやみん御疲れ様。