yoh123 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
日常に広がる柔らかな波紋
物語は西暦2300年代の火星を舞台とするSFだが、宇宙船すら殆ど前面に出ない
其れどころか機械の乗り物すら実際あまり一般的ではない
そんな水の街のゴンドラ漕ぎが主人公だ
第1期は街の一角でARIAの日常が紡がれ広がっていくという流れが多い
中でも第11話が印象的、アテナ役の声の人と歌の人の事を思うと更に…
作品の殆どはテーマを日常に置いており、遥かな未来とは言え現代にも通じる様々な大切な事を明に暗に手渡してくる
非日常の話もあるが、誰かが血反吐を吐くシーンは無いしヒーローの出番も無い
ほぼ1話完結の物語の起伏はとても緩やかで、終始穏やかな旋律を奏でる作品だ
つまり物語は大味では全くない
繊細とすら言えるが、触れ難さの様なものは微塵も無く、柔らかで温かい
時々無性に見たくなるシーンを全期通じて沢山内包している
派手な展開やグラフィックは往々にして中身の無さを誤魔化すが、其れをしないが故の描き方に何か大切なものがあるのかも知れない
さて、日常がテーマなら、幸せは其のテーゼとすら言える
ARIAではとても丁寧に、其れでいて無遠慮な説教とは無縁に描かれている
社会生活に於いて幸せとは画一的に定義されたものであり、形骸化した行動様式を踏む事で以て其の体は成される、大抵そういう事にされてある
だが、其の決まり事だけが幸せな事なのかというのが、製作者達の想いだろう
前者の象徴が地球であり、後者の象徴が水の街と主人公といった所か
原作者は、見落としているかも知れない幸せがもったいないと本に記している
灯里は此の思いを込めて描かれた、ある意味最大のヒロインではある
因みに、血反吐を吐くまで特訓とのたまうキャラは出てくる^^
其れからドラマCDの灯里役の人がTV版のアイを演じるのは中々憎い配役だと思う
また時折、主人公は非日常に触れるのだが、展開は穏やかで派手には程遠い
そして非日常に於ける重要な者との邂逅は未だ先の話だ
どう考えても全部ネコ絡みだが、此れは第2期に繋がる重要な事でもある