ろき夫 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ちょっと言い訳
とある夏、自然学校で知り合った少年少女15人。彼らは思春期真っ只中だ。
ふらっと遊びのつもりで入った浜辺脇の洞窟。
そこで出会った怪しげな男の誘いに乗り、彼らは禁断のゲームに手を出してしまう。
― 欝アニメと名高く、これを「面白い」と言うものなら人間性を疑われかねない問題作。
最近見ましたが、こんなに没頭できる作品は久しぶりでした。もちろん原作未読。
話のテンポが良く、一話一話が短く感じられて、眠気を全く感じさせなかった。
寝落ち常習犯の私にとってこれは大事件なのです。おかげで生活リズムが、ガ。
二晩で全24話消化させたその物語の吸引力は「面白い」という感想を否定できない。
でも自分の人間性が腐ってるのか?と考えたら多分普通なんじゃないかなーと。(自信ないけどw)
過酷な環境に陥れられた人間の行動や、特殊な世界観を傍観するというジャンル。
割り切って見れたのは、今までに漫画やゲームでそういうのに触れてきたから
慣れや、感覚の麻痺した部分が少しはあるから、なのかもしれません。
が、現実離れし過ぎる舞台設定や人物のいる環境、心理描写の極端さが感情移入を遠ざけている。
そんな気がしました。(当事者である子供たちはさておき、周りの大人たちの描写がやっぱヘン)
そういうところがそれ特有のお約束ごとに見えてしまい、良くも悪くも距離感が生まれたのかなって。
理不尽な選択を突きつけられた少年少女らがどういった決断をし、行動するのか。
そこで見せる思春期特有の陰鬱さ、純粋さ、美しさ、力強さ、弱さ。
など、それを存分に引き出す設定の秀逸さだったり、予想される展開に期待してしまう。
そういった部分に魅力を感じるところが大きく、見所でもあるんじゃないかと思います。
にしても、「逃げちゃだめだ」じゃなく「逃げられない」というのも……残酷ですね。
割り切って見てはいたんですが、あまりの救いようのなさに
「うわぁぁ……、酷いことすんなぁ~」と、つい口にこぼしてしまいます。
でも、そういう所が「わかってるなぁ~」と感心するところでもあり、顔をニヤけさせてしまう。
シナリオに動かされているようにも感じるけど、ゲームの性質上、それがすんなり受け入れられる。
はたまた、それを逆に利用して予想外の展開に持っていくところとか本当ヤバい。
そんな作り手の計算がエンタメ脳的なものをどうしても刺激してしまう。
だから道徳観に訴え掛けるというのは勿論ありますが、エンタメ優位な印象を受けてしまう。
某キャラを彷彿とさせるような憎カワイイ生物の存在から考えてもたぶんそう。
でもバランス的にはそれで良かったんじゃないかと思います。
(中盤以降の政治や極道を絡めたちょっとブレ気味なチープ展開も含めて)
重いテーマだけを考えさせるような窮屈な作品だったら、確かに辛すぎて見てらんなかったかも。
主役陣が少年少女だからナイーブな反応になってしまいはするけど
中年のおじさん・おばさんがメインだったらどうなっていたんだろうと、ふと考えてしまう。
(個人的にはそっちの方も観てみたいような……)
ただ、これを面白いとだけ言うと色々誤解を招きそうなので
その言い訳としてレビューを書いた次第です。
別にコエムシ並に心が荒んでいるとか、そういうのじゃありません。
でも……
{netabare}彼が自らを子供たちにコエムシと呼ばせたこと。
最初はSF系・地球外生命体特有のユニークさと捉えていたけれど
もとは人間だったということが分かると、また重みが違ってくる。ちょっと切ない。
あと、
ロボットの操縦者がランダムに決まる。
これがかなり斬新に感じた。
最初、ワク君が主人公かな?なんて思っていたんですけどね(笑)
人物の掘り下げがただのフラグとも取れるので、本当に先が読めないし、主人公が定まらない。
それがあるから終盤まで緊張感を見事に維持できている。
「群像劇ではありながらも、主人公は決まっている」
この手のジャンルものでも、今まではそんなスタイルの作品しか知らなかった。
結局のところ主人公の活躍を見届けるような、そんな安心感に支えられていた。
でも「ぼくらの」は違う。
この主人公が定まらない。というかいない。
それがこの作品の核心でもあるんじゃないかと思います。
だからこそ、一人一人の「死」を平等に見つめることができる。
冒頭の「ワン・フォー・オールオール・フォー・ワン」だっだり、
「みんなで一つだったんだ」というカンジの言葉はそれを意図したものだったのかなと。
ウシロがさいごの戦いで、犠牲になった皆の顔を思い浮かべながら戦う姿。
愛する妹、父のいる星を守るために戦う姿。その姿を見てそう感じた。
最初に抱いた彼の印象からはとても想像できない。一人はみんなのために。
仲間との触れ合いが彼を成長させたのだとしたら、それはやはりみんなは一人のために。
ということだったんじゃないかなと、そう思う。
まあつまり、この作品が伝えたかったことって
「人間いつ死ぬかわかんないんだし、だったら私利私欲のためだけじゃなくて
みんなのために良いことして死にたいよね!」
ってことだったんじゃないかなーと。(だいぶ大雑把ですがw){/netabare}
というわけで明日も頑張って生きましょう!(`・ω・´)ガッツヤデッ!!