退会済のユーザー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
タイトルなし
ストーリーの出来、バトルともにしっかりしていて、自分が観たプリキュア映画の中で今のところ一番の良作。
まず冒頭に腹筋をやられた。
ココとナッツのヘタ絵による夫婦漫才が始まったかと思えばミラクルライトなるシステムが説明される。観客との一体感を試みたこの演出は、堅苦しく言ってしまうと劇中でいきなりメタ発言(みんなも協力して欲しいとかそういうの)されるワケでテンポ自体は悪くなるんだけど、そういうのは言うだけ野暮ってなもんで、子どもらにとっちゃヒーロー(この場合はヒロインか)を助けることができる、この演出は大いにアリ。
で、本作のストーリーなんだけど……ドリームの凄まじさをまざまざと魅せつけられた。なんだコイツ、主人公過ぎる……!
テレビ本編ではプリキュア4人を束ね、絶望的な状況に陥っても折れない強い心をもち、ラスボスを改心させたトンデモなスペック持ちである彼女だが、本作でもそのスペックは健在。
ダークプリキュアとの戦いではそれが顕著だった。
それぞれ自分の力をコピーして作られたダークプリキュアと対峙する中、彼女だけがダークプリキュアを一人の存在として認め、向き合い、かつ対話したうえで友達になるに至るという快挙を成すんだもの。マジ凄いわ。
ダークプリキュアは、プリキュアの力をコピーされただけで、中身はプリキュアと真逆。仲間を否定するルージュ、他人を喜ばせることを否定するレモネード、他人を守ることを拒むミント、孤独を肯定するアクア。
そんなダークプリキュアと対峙し、勝利する。同じ力を持つモノ同士、戦って勝敗が分かれるとするならば、それはつまり、抱えてるもの、想いの強さに他ならない。
プリキュアらの、敢えて否定的に言えば綺麗事でしかない主張に説得力をもたせるのに、このシチュエーションは非常に有効でした。
……というか、もう一人の自分と戦うなんてシチュエーション、燃えないワケがない。
ドリームの「一秒前の自分よりも良い自分になる」という、これ以上なく夢見がちで前向きなセリフによって奮い立つルージュ、レモネード、敵であるダークミントのことも守りたかったと悲しげなミント(まさに安らぎの名を持つに相応しい)、そしてダークアクアをかつての自分と重ね、毅然と打ち勝つアクア(アクアソード同士の対決がカッケェ!!)、で、自身の言葉を証明するかのように徐々にダークドリームを押し始め、遂には圧倒にまでいたったドリーム!
素敵すぎる。
惜しむらくはここ一連のシーンで、ずっとバラードっぽい重苦しげなBGMが延々流れたこと。
ミントやドリームのシーンにはピッタリなんだけど、ルージュやレモネード、アクアの戦いはもっとアップテンポの激しいBGMが欲しかったなぁ。尺の長さもあって、ややテンポが悪かった気がしないでもない。
で、本作の敵であるシャドウとの対峙。能力によってすべてのピンキーを集めるというとんでもないことをやってのけた凄いヤツ! ……かと思えばきちんと数を数えず願いを唱えちゃって恥を掻くだけでなく、せっかく奪ったコレットも奪い返されるおっちょこちょいな一面も。
そして捕まっておきながら野次を飛ばすココ←
ブチ切れドリームさんにフルボッコにされて最終形態になるまでの展開は王道ながらもしっかり熱くなる。
んだけど……その後の、ミラクルライトによるスーパープリキュアが個人的には残念。せっかく羽根がついて空中戦が可能となって、しかも明らかにパワーアップしてるのに、肉弾戦はせずそのまま【プリキュア・5・エクスプロージョン】に直行……な、何故だ。
SSばりの空中戦を期待したんだけどなぁ……。
ダークプリキュア戦をもう少し縮めて、こっちに時間回せればまた違ったんだろうけど。
まぁ不満こそあれど、全体的にはかなり良い出来です。