退会済のユーザー さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
計算できない大切な気持ち
■無駄知識
マンデルブロ集合というものを聞いたことがあるだろうか。私は物理で少し映像を見ただけなので詳しくないのだが、簡単に説明するとOPで描かれているような幾何学的な図形である。まだみていない人は日本列島の海岸線でも想像して欲しい。その図形の一部をズームインしていくと延々と同じような模様が繰り返すのである。こういう図形をフラクタルという。
もっと簡単にいうと、巨大なトランプタワーを思い浮かべて欲しい。小さな三角形が何個も集合して大きな三角形ができる。フラクタルとはそんなものだ(多分)。
マンデルブロ集合の映像を見ていると、たまに木や葉っぱのような形をした模様が出てくる。つまり、逆に言うと自然は数式で表せてしまうのだ。
■物語
簡単に言うと、マトリックスとメタルギアとテイルズが合わさったような話。電脳世界に近くて、ナノマシンが注入されていて、世界がヤバイという感じなのだが、分かりにくいかな…。
この作品で出てくる「フラクタルシステム」とは、先述した内容で言えば人工的に作りだした自然のこと。世界中にネットワークが張り巡らされており、体内のナノマシンとリンクしている。「僧院」がそれを管理しており、しばしば絡んでくる。その人工的な自然、あるいは不自然を良しとしないのが「ロストミレニアム運動」である。
テーマはずばり「自然という神秘」、キーワードは「繰り返し」「生命」「好き」といったところか。まぁ人類にとって、生命にとっての永遠のテーマである故、私ごときが語れるものではない。
この作品の物語自体はごく平凡なものかも知れないが、描いているテーマは壮大でとても興味深いものである。人が命をつないでいくことは果たして自然な事なんだろうか?「好き」という感情は何なのか?虫や植物でも寂しいと思うことがあるのだろうか?そんなことを考えると夜も眠れない。ああ、なんて素敵なんだろう。なんてロマンチックなんだろう。知りたい本当に…。そういうことを考えるのが好きな方にオススメ。
シンプルゆえに、とても一言では表現できないほどに難しいお話。欲を言えばもう一捻り欲しかったかな。
■人物
・登場人物に多少は感情移入出来るだろうが、正直この作品は感情移入する必要がないように思う。それよりもテーマについて想像を膨らませるのがこの作品を楽しむポイントだろう。
・ビンテージが趣味のおじさんは主人公の父親なんだろうか。もう少し詳しく知りたい。
・ネッサ…思い出、フリュネ…息づいているもの、ということを表現しているのかな?
■その他
・OPとEDがよく出来ている。OPの模様は気持ち悪いと思う人もいるだろうな。私も少し苦手ではあるけど、終盤で地平線のようなものが見えて、その後女の子?が描かれているのがなんとも素晴らしい。EDはアイルランド民謡らしく、テーマと合っているように思う。
・作画は綺麗でよく動く
・井口さんが演じてる子がエッチエッチやかましいのと、僧院の変態野郎の台詞が残念だった