らしたー さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
怪我もしてないのに絆創膏はって登校したこともありました。
劇場版公開や2期の話題で盛り上がっている模様。
もう一回波が来そうな作品なので、思い出し作業も兼ねて投稿。
まず、盛大に期待を裏切ってくれたなあ、という感覚が非常に強かった。
観てる人間を悶えさせ、羞恥させ、枕に顔うずめて手足バタバタさせてくれるような何かを期待していたのに、実際にはイタイ子たちを外野から眺めて楽しむ、いわば安全圏のお話であった。
そもそも、エキセントリックな女の子がわんさと出てきて、そろいもそろって珍しい苗字ばかりで、活動内容不明な同好会があるって、こんな激アツな中二設定の前では邪王真眼も不可視境界線もぜんぶ霞んで見えるではないか。
舞台設定そのものがすでに恥ずかしすぎるのに、今さらダークフレイムマスターに身悶えされても、温度差を感じてしまうのですよ。
むしろ普通にカッコよくないか? 少なくとも私はそう思うのだが。
『悪の華』あたりの中二病表現はグサグサきた反面、この作品の中二病演出は、子供っぽくて可愛らしいナ、という以外にとくに思うところもなく、まあたしかに狭義の中二病ってこんなものなのだろうけど、自分の中ではそれら作中の中二病表現に「恥ずかしい」という感情がどうしてもリンクしてこない。
小学生の「○○レンジャーごっこ」の中高生版、という、ただそれだけの印象なのである。実に可愛いらしいじゃないか。カッコイイではないか。
そんなこともあってか、ああなるほど、これが「刺さらない」って状態なのかと、むしろ感慨深くもあった。
ここらへんになってくると、過去の自分の何を恥ずかしく思うのかで、けっこう人によって温度差が出てくると思うわけです。
そりゃ私も、ノートにろくでもない大陸を描いたり、その中に国や種族を設定したりもしましたさ。怪我もしてないのに絆創膏はって登校したこともありましたさ。でも、そういうのを懐かしくは思っても、いまだに「恥ずかしい」とは思ってないんだな、これが。
理由もなく周りの人間を見下したり、世間や両親へのアプローチの仕方が未熟だったり、そういうのは思い出すだけでも赤面してしまうけども、「不可視境界線」とか、その手のやつは今でも普通にカッコイイと思っちゃう自分が確実にいるわけです。
そこらへんの温度差ていうか、「中二病」というワードに対する距離感の違いが、期待を裏切られたという感想に向かったのだと思う。
純粋に青春ラブコメとして見る分には上々の出来で、中二病がモチーフだからといって格段に面白くなってるわけでもなく、かといってつまらなくなるわけでもなし。
尖ったところのない普通の良作でしたなあ、としか。六花かわいいし。
これでもし画のクオリティが低かったら、自分には何もフックしなかったのだろうと思うと、さみしいような複雑なキモチになってしまう。途中から、中二病と呼ぶにはあまりにも重たい展開というか、パーソナリティ障害一歩手前のものをどうこう、みたいな印象にすりかわってしまったのも残念。
**
昨今では中二病の意味が広くなりすぎてしまってる気がする。
極端なことを申しあげますと、この作品に出てくる主人公のごとく、中二病だった過去の自分を恥ずかしがったり後悔したりと、後になってネタとして消費する行動すら、「それもまた中二病の範疇です」と指摘されたら、頷いちゃいそうな気がするわけで。
それはそれで、高二病とか大二病とかまた別のステータスを得るのかもしれないが、そんなの大差ないわけですよ。若かりし頃の黒歴史に悶えたり笑いとばしたりしてる、そういう「現在」ですら、10年後の自分からはさぞかし生温かい目で見られちゃってるんだろうなあ、とか、考えたりはしないのかしら。
そうなるともう、何をもって卒業なのかってのは考えるだけ無駄というか、むしろ逆転の発想で、いつまでも中二病を患っていたい、この中二魂なくしてなるものかと、逆に意固地になっちゃたりもして。最近はわりとそんな感じに生きてます。
それが一周回ってアリなのか、致命的にアウトなのかは、10年後の自分に判断を託せばいいし。
いや、ほら、日本刀の名前とか笑うよ? 中二病全開すぎて。
昔の人どんだけ中二病だったのよ。
少なくともああいうのでwktkできる気持ちはなくしたくないでしょうさ。