北山アキ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
岡部倫太郎物語
SFの骨格も、
サスペンスとしての展開も、
ラブストーリーという果実も、
コメディの誘惑(と表裏一体の脆弱性の病理)も
その全てが、岡部という主人公を中心に展開し、
収束してゆく。
これほどまでに、一人のキャラクターを全方位から
魅せられたら惚れてしまいますよ。
掘れてしまう人も出るんじゃないかと心配になるくらいに。
厨二病的人格の末路は {netabare}
その所有者が社会へ迎合するため放棄、忘却されるか、
あるいはそれができない所有者自身が社会から存在を放棄、忘却されるという、
どっちにしても抹殺の道である。
(鳳凰院は半分仮病だけど)
しかし、岡部倫太郎は違う。
鳳凰院凶真という願望(仮面でもあるけど)を捨てず、
鳳凰院凶真という妄想に飲み込まれもせず、
鳳凰院凶真を血肉として、かつそれを超越した岡部倫太郎を実現する。
クリスやダルのような天才ではない
ふつうの人である岡部が、
唯一人眼前の現実を超克し、
あるべき世界へと転換せしめ得る。
仲間の力と
望むものに辿り着こうとする強い意思の力で。
(「執念」や「愛」とという言葉で置き換えられるところもあるが、
もっとしっくりくるのは英語の「will power」)
{/netabare}
そんな青年の物語。
特に22話から最後までの展開はエピックだ。