Lovin さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
見た感じ
■概要
TV放送を視聴。原作は未読。
姉に逆らうことを諦めている主人公は、その姉と同じ高校へと進学する。生き方の信条を省エネとしている主人公は部活を考えていなかったのに、OGとして姉から入部を強要されてしまう。部室に赴いた主人公を待っていたのは・・・
本作品は2クール26話で構成されている。1話完結の短編から複数話かけて挑む中編が織り交ぜられている。
■主な登場人物
主人公
省エネ主義で面倒くさがりだが、必要なことは手短にと諦めの良い部分も持っている。
豪農息女
好奇心旺盛で犬並みの嗅覚を持っているが旧家の育ち故の家庭的な一面を持つ。
データベース
「データベースは答えを出せない」が口癖の少し軽い博識の同級生。主人公とは旧知の仲。
図書委員
本好き?の普通の同級生。主人公のことを嫌っているが、DBに淡い思いを寄せている。
■感想
視聴前の期待度は3段階で★★★と若干高め。京都アニメーション制作で何かと話題に挙がっていたので気になっていた作品だった。
基本的に、豪農息女が事件を持ち込み、データベースと図書委員が加わり調査を行い、全員で考察しながら主人公がまとめる、といった展開となる。
序盤は豪農息女がある悩みを抱えており、主人公が解決に見合う人物かどうか見定めている節を感じる。それが満たされたとき豪農息女は秘密を打ち明け主人公が考察を始めることになるが、私にとってこのエピソードはこの作品を好きになる上での重要な意味があった。
視聴前から「本当に面白いのか」と疑っていて、それまでのエピソードが面白くないわけでもなかったが、校内での出来事であって取り立てるほどの事件ですらなかったことや自作自演、所謂マッチポンプで事件を解決した振りをするなど肩透かしなところがあったからだ。
結果、45年前に起こった事件の真相に関して出した答えは「まるで見てきたよう」と評されるほど正確なものとなり若干の爽快感が得られたが、浸る間もない直後に本作品のタイトルにもなっている「氷菓」に関わる事実への繋がりを知ったときはそれを打ち消すほどの衝撃を受けた。
実際真相追求までの主人公の考察には最初の大きなヤマということもあって手に汗握るほど力の入る部分もあったが、内容的には当然だが全体的に文学的な言い回しの台詞が多く若干退屈な部分が無いわけではなかった。しかし解決編での豪農息女の一言で積み上げてきたピラミッドが完成したときのように安堵できるものがあった。
私はOPEDをスキップする傾向にあり制作スタッフの名前を殆どチェックしないのだが、この作品に関してはそれが仇になってしまった。「らき☆すた」や「フルメタルパニック?ふもっふ」を担当した武本康弘監督の作品と気付いていれば疑うことは無かっただろうし、それ以降は少なくとも監督だけはチェックするよう心がけている。
各エピソードは、すっきり晴れやかな結末となるもの、解明しなければ良かったと思えるパンドラの箱のようなもの、依頼者の曖昧な態度にミスリードされてしまうものと多彩な結末が用意されており、推理ものなどではなく、事象と考察を通して人間ドラマが描かれる作品なのだと思う。
■作品の傾向
妙にリアルな考察と超常現象を利用しない、こういった雰囲気の作品は比較的珍しいと思うので、傾向や類似作品を探すのは難しい。噴出しの多い漫画、行間を読む漫画が苦手な方は避けるべきだろう。
本作品は推理でもサスペンスでもないが「DEATH NOTE」辺りが類似作品に該当する。
人間ドラマならそういうイメージは少ないが「あしたのジョー」辺りも類似作品に挙げておきたい。
推理だけなら類似作品は数多く存在するが、トリックが神がかっており本作品に類似しているは言い難い。
■蛇足:{netabare}
以前「ライトノベル」と発言したらビブリオマニアに「ハードカバーです」と怒られた。
詳しいことは知らないのだが、ラノベ以外でも文庫化はするだろう?例えばエッセイを文庫化したらエッセイではなくなるのか?違うというならラノベがハードカバーでは駄目という定義も無いはずだ。
実際のところ、本は読まないのでラノベでも純文学でもどっちでも構わないのだが。
{/netabare}