退会済のユーザー さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルなし
初見は情勢も状況もよく分からぬままにただラフレシア戦のF91とシーブックの「なんとぉぉぉぉ!!」に意識をもっていかれて視聴終了。感想としてはとりあえず「F91カッケェ!」が全てだった。
ところが、1st、Z、逆シャアの情報を頭に入れた状態で視聴してみると、視聴する度に、限られた尺の中で盛り込まれた情報の提示の巧さに舌を巻く。話の流れはかなり練り込まれていると感じる。尺のことを考えれば、完成度は相当なもの。
戦いに決着はついていないけど、シーブックとセシリーの抱擁が、本作で描きたかった画、なのだろう。となれば問題はその抱擁に至るまでのものが描けているかであり、本作はその点を見事にクリアし、感動的なラストへと昇華させることに成功していると言えるだろう。
早い話が、感動したってこと。
それまでのガンダムには存在しなかったラブロマンスが、本作では違和感なく描かれているんだもの。(08小隊? なにそれ食えんの?)
鉄仮面やバグといった存在と、シーブックとセシリーの関係は見事な対比として描かれ、相対的にラストの感動へと繋がる。
「お!」となったのが、終盤のセシリー捜索場面。
本作では、ニュータイプの感性をもってしてバイオコンピュータで簡単に見つけ出しはしなかった。かといって、頭から否定することもなかった、というのがポイントだ。
一度はニュータイプの感覚でそれらしき反応を得たものの、それだけでは発見に至らなかった。
【感じること】に限界があると嘆くシーブックに、母は言う。
「だったら、惹き寄せなさい」
シーブックの声なきセリフで言い換えるなら「どこだ、セシリー!」ではなく「セシリー、俺はここだ!」となったワケだ。
セシリーにとって、あの時あの場面で最も求めた人は、シーブックに違いない。最も求めた温もりは、シーブックに違いない。
誰かが誰かの居場所になる。その素晴らしさと温かさが実に美しく描かれたエンディングに、胸のすく思いだ。
逆シャアに比べれば戦闘シーン自体は地味になってしまったけど、その分、ディティールの緻密さ、動きの細かさはこちらの方が上かも。
個人的には、ガンダムシリーズでも五本の指に入る作品。