退会済のユーザー さんの感想・評価
2.4
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
タイトルなし
作られるべくして作られた続編だというのに、続編としての正しい作りを一切放棄した、狂気の作品。
本作の主人公はシン=アスカだ。それはゆるぎない事実である。公式でも一貫してシンが主人公だと主張している。
……じゃあ、このお話はなんなワケ?
前作の主人公であるキラ=ヤマトは、自ら考え、選択し、行動することの大事さを痛感した。
遅まきながらも自立し、世界の悪意の権化と刃を交えたのだ。しかしその時、彼には語れる言葉が無かった。
だから逆ギレ気味に暴力で無理矢理解決するしか道がなかったのだ。
ようやく訪れた平和。しかしキラは、自分の帰る世界の醜さを嘆いた。
ならば、本作の物語が始まった段階で、キラが行うことといえば、ラクスとともに自分達の考えを広めることのはず。
……それがどうして、引きこもってんですか。
いやいやいや、結局そこで自分の護りたい世界(ラクス)と人畜無害な子どもだけで暮らしてんだよ。そんなだからシンが可愛そうな目にあうんだろ?
だいたい、続編の主人公の造形が【自立できなかった人間の末路】って時点でどうなの? それを続編で、ましてや主人公である必要はないでしょうよ。
まだ褒めるところがあった前作に比べて、本作には褒めるようなところがない。
前作で学んだ経験を、次世代に教えようとしないキラとアスラン。彼らが争っていた時、頼れる大人というものが存在しなかった。
ならば、彼らこそが、次の世代の為に大人にならなければならなかったんじゃないのか。でなければ、前作の戦争が無意味となってしまう。
なにせ、前作の戦争の根本にある【ナチュラルとコーディネーターの摩擦】は、何一つ解決していないのだ。
キラの武力行使によって、世界の悪意と憎しみは一時消え去った。再び彼のような存在が生れない為に、彼らは行動しなければならない。
デュランダルの甘言に、レイの誘いからシンを救えたのはアスランだけだし、シンを憎しみから解放してやれるのも、キラにしか出来ないことであり、キラがしなければならなかったことだろう。
本来ならば、最終決戦でレイと対峙すべき存在はシンであり、レイに放ったキラのセリフは、シンが発しなければならなかった言葉でもある。
破綻したストーリー、正気を失ったキャラクター、酷い作画(ストフリがフリーダムになったりもしていたね……)、素晴らしい劇伴も、これでは虚しさを掻き立てるばかり……。
まぁ正直、シン自体もそこまで好きな部類じゃないんだけどさ。