退会済のユーザー さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
タイトルなし
まずおかしいのが一話。地球の局地に配属されることとなったシローがアイナと運命の出会いを果たすのだけど、二人が協力して救助を求めるこの時点でまずおかしい。
ここでシローの設定を振り返っておくと、彼は選民思想に染まってしまったジオンの人たちを救おうという一心から軍に志願し、その後、ジオンの作戦によって家族を皆殺しにされるという重い過去を抱えている。
果たしてこんな過去をもつキャラクターが、出会ったばかりのジオン兵の怪我の手当てをし、あまつさえ協力することを自分から言うだろうか?(しかもその直前、同僚に地球からジオン兵を追い出してやると意気込んでいるんだよ?)
まぁ本作で書きたかったのはアイナとの恋愛だから目を瞑るにしても、それ以降、あらゆる場面でシローというキャラはアイナとの絡みによって持ち前のキャラクターを破綻させていってるんだよね。
シローという人物は甘ちゃんと呼ばれるだけの青臭さを持ちながらも、その熱血で隊を引っ張っていく、伸びしろ有りきで好感が持てるキャラクターだった。それが、アイナとの絡みになってくると途端にその青臭さが悪い意味で目立ち、ひたすら戦場を自分の都合で引っ掻き回す不快なキャラクターに変貌を遂げるんだ。
最悪なのが最終話。自分の部下である小隊のメンバーに向かって、彼はなんの躊躇いもなく「俺は軍を抜ける」といって隊員に背を向け、アイナのもとに向かう。これには唖然とした。
二話以降、08小隊の中に絆が生まれていく過程を散々描いてきたにも関わらず、彼はこれといって迷うような素振りをみせずに去っていったのだから。
確かにアイナとの交流もそれなりに描かれてはいたけど、小隊メンバーとの絆に比べたら、明らかに見劣りしていた。
この展開にもってくるならせめて、何故自分は戦っているのか、自分の護りたいものはなんなのかシローが自問するシーンぐらいは見せておいて欲しかった。本作の流れは明らかに、シローの軍人としての成長物語の側面が強かったのだもの。
全体的に、シローとアイナの恋愛を話の主軸にしたがっているのはひしひしと伝わってくるものの、恋愛絡みの葛藤や障害といったものがろくに描けていないので、二人の恋愛が非常に薄っぺらい。
反対に、小隊がまとまっていく流れ、軍の下品なノリ、戦場の空気、MS戦闘はよく描けていた。逆に言えば、ここの部分の出来が良かったがゆえに、恋愛の薄さが目立ったとも言るんだけど;
特に6話の出来はかなりのもの。
それでも本編視聴後はすごくモヤモヤが残ってしまうので、評価は厳しめ。