退会済のユーザー さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
タイトルなし
本作は【ガンダムを考えるガンダム】というコンセプトのもとに制作されたらしいのだけど、そこにもう少し付け加えるなら、本作は【これからのガンダムを考えるガンダム】だったように思う。
富野が鬱を患ってガンダムから手を引いてから、ガンダムは宇宙世紀からの脱却を図った。
その結果、Gガンダム、ガンダムWという別ベクトルに振り切った怪作にして傑作を生みだした。ニュータイプ論や哲学を盛り込まなくてもガンダムはやっていけるという、明るい可能性を二作は示した。
そして、トドメに放たれたのが本作、ガンダムX。
これから、更なる可能性を模索していくであろうガンダムシリーズの為に、そしてこれからもガンダムを観ていくであろうガノタの為に向けたメッセージが強く印象に残る作品だ。
なにせ最終回の内容を要約すると【ニュータイプなんて者はそもそも存在しないのだから、理想に走らず、概念に囚われず自由な心で在れ】なのだ。
これは、宇宙世紀にのめり込んでガンダムに対して凝り固まった考えしか持たなくなってしまったファンに対する、半ば苦言めいたメッセージのように思う。
これ自体はなにも問題はないのだけど(強いて挙げるなら、Gガンダムの前にこの作品を放送しておけばよかったんじゃないかとは思うけど)、それにしても問題なのはそのメッセージではなく、単純に作品としての面白味がいまいちだということに他ならない。
ガロード、ティファ、ジャミル。この三者のドラマは申し分無し。
ただ、これまでのガンダムに比べると、群像劇としての魅力は激減した。
また、ラスボスとなったフロスト兄弟にしても、序盤から登場しておきながら基本的には撤退ばかりで戦闘の強さが全然伝わってこない。弟の方に至っては、語尾に「兄さん」とつける回数の多さが気になるだけ。
兄弟の心意が明かされるのは終盤で、その心意にしても期待してたほどの内容ではなく……これならば、真意を明かすのは中盤ごろにして、2クールが終わったぐらいで実際に戦争が起こった方が、展開としてははるかに面白かっただろう。
隠し切れない小物感をもう少しどうにかして欲しかったかな……。
面白さとしては、DXへの乗り換えエピソードがピークだったかも。